艦載機E2C、横浜ノースドックに現れる



ノースドックに現れたレーガン艦載機。厚木にいるはずの早期警戒機E2C(NF/600)

滑走路もない横浜ノースドックに艦載機が姿を現した。ロナルド・レーガンに載る早期警戒機E2Cだ。第5空母航空群第115警戒管制飛行隊(VAW-115)に属する機体でモデックスは600。飛行隊長の乗機で、機体がいわゆる「色つき」に塗られている。機体番号(Bu.No.)は 166505 だ。

10月18日、横須賀配備後初の任務航海に出た空母レーガンが相模湾での海自の観艦式に「飛び入り」した。この日、日本のソーリ大臣が空母を訪問する直前に空母の格納甲板で火災が発生した。牽引車の電気的な発火で火災が起き、近くにいたE2Cが「もらい火」をした。この事故は、艦上で起きた航空機事故として、クラスAにランクされた。


海軍安全センターのクラスA事故一覧より。機体は壊れていないが、コストが不明なためゼロと表示されている。

事故一覧の機体番号が示すように、横浜ノースドックに持ち込まれたのは、この時の火災事故にあったE2Cだ。事故機は飛ばすこともできずに、空母に積まれたままだった。横須賀に空母が戻ってきてから、空母から降ろして海路ノースドックまで運んだとみられる。
横浜ノースドックに巡回してくる米海軍MSCがチャーターしている自動車運搬船で、本国に持ち帰るのではないだろうか。

ノースドックのEバースには、車体の下がタイヤだらけの超大型クレーン車が、作業を終えて分解・搬出されるのを待っていた。横須賀基地12号バースで、陸上の大型クレーンを使って空母のエレベーターから引き上げた機体を、海上の大型バージにおろし、タグボートが曳いてノースドックまでやってきたのだろう。Eバースに到着したバージからE2Cを丸ごと引き上げたのがタイヤだらけの超大型クレーン車だったと思われる。

艦内での修理が未了だったり事故で飛べなくなった艦載機は、空母が積んだまま入港する。横須賀基地の場合、その事態に対応する機能を持つ基地が2つある。
艦内で修理が終わって飛行可能になった固定翼機は、バージに載せて東京湾を横断して木更津基地に陸揚げする。木更津基地は普段は陸自の航空基地(おもにへり基地)だが、米軍の共同使用の基地だ。揚陸された航空機は木更津基地の滑走路を使って飛び立ち、厚木に向かう。
今回のE2Cのように、空母艦内や厚木基地の中間修理施設(AIMD:Aircraft Intermediate Maintenance Department) では手におえずに本国に送り返して全面的に修理を行う必要がある場合は、ノースドックまでバージで運んで貨物船に積み込む。

ノースドックの片隅に置かれたE2Cは、表面的には焼け焦げたあとなどは見えないが、消火剤を大量に浴びているため、電子機器やケーブルのチェックをデポレベルの修理機能を持つ施設で完全に行わないと飛べないのだろう。
今回の事故の後処理で、空母の運用を支える横須賀以外の基地の機能が表面化した。

(RIMPEACE編集部)(2015.12.7 撮影)


3つに分割してトレーラーに積まれてノースドックから出る超大型クレーン車。4台目は分割作業のための大型クレーン車


2015-12-8|HOME|