日米合同防災訓練、沖縄からLCUもかけつけ横浜NDで実施


陸自の車両を載せたLCUブロード・ラン。車両には「災害派遣」の文字も


自衛隊の救急車などを積んで再び横浜港内を走るブロード・ラン(2017.3.16 星野 潔 撮影)

  3月16日と17日に横浜ノースドックで「東部方面隊日米共同災害対処訓練」が行われた。

期間中、ノースドック周辺の上空にはヘリが頻繁に飛来した。ノースドック中央部にヘリが何度も着陸し、ほぼ同時に2機のヘリが飛び立つこともあった。

コブラゴールド2017演習の支援で3月1日までタイに滞在し、3月12日に米軍の軍用車両などを載せて沖縄のホワイトビーチを出港して15日夜に横浜ノースドックに到着した米陸軍 LCU(大型揚陸艇)のブロード・ランも、この訓練に参加した。

16日には、まず、陸上自衛隊の車両を満載したうえ隊員たちものせてベイブリッジの外側まで航行し、戻ってきてノースドックのLCUの「たまり場」奥の「すべり」に接岸して陸揚 げした。米軍と陸上自衛隊がまさに「一体」となって動いているように見える光景だった。
その後、再び別の車両を載せてノースドックの周辺を航行した。

ブロード・ランは17日にも複数回離岸と接岸を繰り返して「訓練」を行った。

陸軍舟艇搬入時、日本政府は「運用されない」と言っていたが...

 今回の日米共同訓練で使用されたLCUを含む揚陸艇類は、2002年夏以降、米軍がノースドックに運び込んで係留保管してきたものだ。
それまでは、米軍の輸送船が上陸用「舟艇を積んできてノースドックに下ろしたという例は」無かったという(2002年9月20日横浜市会総務企画財政委員会での今田総務局長の 答弁)。

 それゆえ、LCUを含む揚陸艇類の搬入は基地機能の強化あるいは変質を意味するのではないか、という疑問が出た。

 横浜市に対する当時の外務省の説明は、「無人の舟艇の保管であって、運航のための部隊の配置はなく、運用はされない」、「武器の搭載はなく戦闘用艦艇ではない」、「瑞穂ふ頭の 機能を高めるものではない」などというものだった(2002年9月18日横浜市会定例会での中田市長の答弁、同年9月20日の横浜市会総務企画財政委員会での今田総務局長の答弁 など)。

 また、2002年8月28日の神奈川新聞は、「横浜市渉外部によると、米軍側は今回の措置にあたり外務省を通じて@艦船は燃料を抜いて保管するA運航はしない−と説明している」 と報じている。

 しかし、実際には、その後、横浜ノースドックで備蓄している揚陸艇などを実際に使用する演習が行われるようになったし、数年前からは横浜に「燃料を抜いて保管」されているはず のLCUが、事実上、沖縄に交代配置され東アジアを結ぶ輸送業務に運用されるようになった。

 だが、2002年以後、ノースドックでの揚陸艇などの「保管」の変化や運用について、米軍や日本政府が新たな説明をしたという話を聞いたことはない。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)(2017.3.16 星野 撮影)


演習期間中、ノースドックに降りる軍用ヘリ


2017-3-21|HOME|