横浜ノースドックのLCU、沖縄から演習支援で南方に


横浜から再度沖縄に来て、ホワイトビーチ海軍桟橋に停泊するLCUブロード・ラン(2017.7.30 伊舎堂 達也 撮影)

横浜から沖縄に派遣されている2隻の米陸軍ラニーミード級大型揚陸艇(LCU)のうちの1隻、ブロード・ラン(LCU 2007)が、8月14日の朝にインドネシアのジャカルタ港に入港し、 17日の朝にはシンガポール港に入港した。
 東アジア、東南アジアを股に掛けて、このLCUは一体何を運んでいるのだろうか。

 ブロード・ランの今回の航海について、米海兵隊HPのMarines TVに7月24日付けで、「Soldiers Sailing Ships in Okinawa」と題する、ちょうど1分間の興味深い動画が掲載されて いる。
 このMarines TVの動画によれば、ブロード・ランを沖縄で運航しているのは、米本土大西洋側のバージニア州フォート・ユースティス基地から訓練として9ヶ月間派遣されている陸軍 水兵たちだ。フォート・ユースティス基地は、米陸軍第7輸送旅団の本拠地だ。

 昨年横浜から沖縄に派遣されていたLCUのコアモ(LCU 2014)とハーパース・フェリー(LCU 2022)に代わって、カラボザ(LCU 2009)とブロード・ランが相次いで横浜ノースドック を出港したのは今年1月のことだ。だから、現在ブロード・ランを運航している陸軍米兵たちは9月頃まで、沖縄を拠点とする輸送業務に従事するのだろう。
ブロード・ランとカラボザが横浜から沖縄に派遣されているのも、9月頃までということなのだろうか。それとも、別の陸軍水兵たちがフォート・ユースティスからやってきて、ブロー ド・ランとカラボザの運航を引き継ぐのだろうか。あるいは、別の陸軍水兵たちが、横浜で別のLCUに乗り込んで、同じような業務を行うのだろうか。

 米海兵隊HPの動画によれば、現在ブロード・ランで訓練している陸軍水兵たちの最後の航海は、40日間続く予定なのだという。その間に、積み荷を運んで太平洋のいくつもの国々を まわり、多くの演習の支援をすることになる。

 横浜ノースドックに「備蓄」されているはずのLCUは、10隻だ。
何度も繰り返すが、2002年にLCUなど米陸軍揚陸セットが横浜に運ばれてきたとき、米軍は外務省を通じて「@艦船は燃料を抜いて保管するA運航はしない」と横浜市に説明したは ずだ。しかし、近年、LCUを2隻ずつ交代で沖縄に配備し、東アジア・東南アジアを結ぶ小型輸送船として使用することが既成事実化されている。
横浜は、10隻もの小型輸送船を擁する、東アジアにおける米軍の輸送業務の要の一つになってしまったのだ。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


2017-8-18|HOME|