海兵隊装甲車など、北海道からノースドックに運ばれる


9月5日午前中にノースドックに陸揚げされた米海兵隊のLAV装甲車など(17.9.5 星野 撮影)


翌6日正午、シートをかぶされてトレーラーに載って搬出される直前の海兵隊の車両群(9.6 頼 撮影)

 8月に北海道で行われた米海兵隊と陸上自衛隊との合同軍事演習「ノーザンヴァイパー」が終わり、自衛隊が使用している民間高速船「なっちゃんワールド」が苫小牧から那覇軍港に 9月3日に到着し、釧路の西港からは同じく自衛隊が借り上げて使用している民間輸送船「はくおう」が9月5日に那覇軍港に到着し、それぞれ演習に参加した海兵隊の車両などを運ん だ。「はくおう」は、矢臼別演習場で実弾射撃訓練を行った米海兵隊の高機動多連装ロケットシステム「HIMARS」も那覇軍港に運び込んだ。

 しかし、「ノーザンヴァイパー」に参加した米海兵隊車両すべてが北海道から沖縄に運ばれたわけではないようだ。

9月5日、横浜ノースドックでは、「ノーザンヴァイパー」に参加したとみられる米海兵隊車両合計8両がHバース付近に並んだ。6両の装甲車LAV−25と、ハンヴィー、軍用ブル ドーザー各1両だ。
LAV−25には、砲塔を備えたものと砲塔のないものなど、複数のバージョンの車両がみられた。ブルドーザーとみられる車両は、小型のタンクのようなトレーラーを牽引していた。

9月3日に苫小牧港を出港した日本船籍の民間貨物船(ローロー船)の「デイブレイクス ベル(DAYBREAK'S BELL)」が、5日の午前中に数時間、横浜ノースドックのHバースに接岸し ている。どうやらこのデイブレイクスベルが、米海兵隊車両をノースドックに運び込んだようだ。
デイブレイクスベルは、もともと苫小牧と神奈川県の川ア、追浜、宮城県の仙台などを結んで循環する航路に使用されている民間のローロー船だ。苫小牧から川アまで、通常の航路をた どるついでに、横浜ノースドックに立ち寄って、米海兵隊の装甲車などを運び込んだということなのだろう。

 民間港である横浜港の中心部に軍事施設である米軍基地が存在し、米軍の兵器が並ぶ。そしてその米軍基地の活動は、日本の民間企業の業務によって支えられる。
境界が分かりづらくなってきてはいないか。


北海道の演習で使用するHIMARSも4基、民間貨物船に積み込まれて釧路に向かった(8.9 頼 撮影)

 今年の日米合同演習ノーザンヴァイパーのために、横浜から米軍車両を北海道に運搬したのも、日本船籍の民間小型貨物船だった。外部の市民の見えないところ、監視の目が届きづら いところで、民間企業の業務への米軍の活動の浸透が進んでいるのではないか。

 ノースドックのHバースに並べられた装甲車などの海兵隊車両は、9月6日の昼には、カバーをかぶせられてトレーラーに載せられていた。その後、何処かへ搬出されたようで、 8両すべてがHバースから姿を消した。

 防衛省の発表によれば、9月24日から10月4日までの日程で、沖縄県道104号線越え実弾射撃演習の分散・実施が東富士演習場で行われる。演習は、車両約100両、大砲12門、 人員約430人が参加する規模で、9月中旬には参加部隊が東富士に到着するという。
ちなみに、東富士では9月に米陸軍と陸上自衛隊の合同演習「オリエント・シールド」も実施される。

 9月5日に横浜ノースドックに並べられた海兵隊の車両は、この104号線越え実弾射撃分散・実施に参加する車両の一部なのだろうか。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


ノーザンヴァイパー演習で、北海道大演習場で使われた装備を、苫小牧から那覇軍港に運んできた輸送船「なっちゃんワールド」(9.3 読者 撮影)


HIMARS6基など、矢臼別演習場で使用された機材を西港(釧路)から那覇軍港に運んできた輸送船「はくおう」(9.5 読者 撮影)


2017-9-7|HOME|