横浜ノースドックにフォース・プロバイダー陸揚げ



9月16日午前中、ノースドックのHバースに寄港したグリーン・レイクから降ろされたフォース・プロバイダーのコンテナ(17.9.16 星野 撮影)

 9月16日の朝、自動車運搬船グリーン・レイクが横浜ノースドックに入港してHバースに接岸した。グリーン・レイクは、米軍のMSC(Military Sealift Command、軍事海上輸送司令部)の契約で、米国東海岸と東アジア・太平洋地域の米軍基地の間で軍事物資や軍用車両などの輸送業務に従事している米国船籍の民間船だ。
 今回、グリーン・レイクは、韓国の釜山港を9月14日に出港して横浜にやってきた。釜山に到着する前には、沖縄に寄港していた。

入港当日の16日午後、グリーン・レイクは、フォースプロバイダーの小型コンテナを陸揚げした。
16日の13時頃にフォークリフトがHバースからグリーン・レイクのランプウェイをのぼって船内に入ると、その後、待機していた民間運送会社のトレーラーがランプウェイから船内に入り、しばらくするとフォースプロバイダーの小型コンテナを積んで出てくるという光景が繰り返された。

 フォースプロバイダーとは、戦地に展開する米軍兵士に快適な居住環境を提供するために、エアコンの効いたテントを中心に、キッチン、食堂、洗濯室、シャワー、トイレ、娯楽厚生施設などを一揃いのコンテナに収めたベースキャンプセットだ。湾岸戦争の際に砂漠に展開した米陸軍兵士が、劣悪な宿営地環境に置かれたことへの反省から導入されたものだ。今や米軍にとって、兵士の士気を高めるための重要な装備となっている。


ノースドックの埠頭に並んでいるフォースプロバイダーのコンテナ。4×9の36個が固まっている(9.18 頼 撮影)
 

自動車運搬船グリーン・レイクは、台風が日本列島を縦断する悪天候となった17日の夕方に横浜ノースドックを出港して名古屋港に向かった。
 翌18日、ノースドックには36個のフォースプロバイダーの小型コンテナが並んでいた。みなとみらいからは倉庫の影になって死角になる位置だ。既にノースドックから搬出されたコンテナがあったのかどうかは不明だ。

 フォースプロバイダーは以前、1セットが550人規模の兵士のベースキャンプセットだった。それゆえ、1セットを構成するコンテナは100個を超えていた。しかし、アフガニスタンの戦場で使用された際、そうした大規模なベースキャンプセットの設営には長時間かかることが指摘された。そこで、フォースプロバイダーは150人規模のベースキャンプセットに仕様が変更されたことを米陸軍のHP、army.milの記事は伝えている。
 今回確認された36個のフォースプロバイダーコンテナは、その150人規模のベースキャンプセットの可能性が高いのではないか。

 神奈川県相模原市にある米陸軍の基地、相模総合補給廠は、フォースプロバイダーの備蓄地の一つだ。今回ノースドックに陸揚げされたフォースプロバイダーコンテナも、相模総合補給廠に運び込まれるのだろうか。

 なお、日米共同軍事演習で使用する米陸軍装備をノースドックに運び込んだ貨物船オーシャン・ジャズから陸揚げされた後、Hバースに並べられたままになっていたストライカー装甲車5両、タンクローリー1両、ハンビー1両は、グリーン・レイク出港後の18日にはHバースから姿を消していた。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


倉庫の隙間から辛うじて見えるフォースプロバイダーのコンテナ(9.18 頼 撮影)


2017-9-21|HOME|