現役輸送艦として動き続けるND備蓄の大型揚陸艇


1月12日、出港前日のLCUカラボザとブロードラン。船体を横付けして停泊している(18.1.12 星野 撮影)

1月13日午後、横浜ノースドックのCバースに12月以来並んで停泊していたLCU(米陸軍大型揚陸艇)のカラボザ(LCU2009)とブロードラン(LCU2007)が、相次いで出港した。

13日の夜の時点では、この2隻は多少の距離を置きつつ前後に並んで航行し、伊豆半島の下田沖にまで到達していた。
ところがその後、13日の深夜に2隻は奇妙な動きをみせた。下田沖で突然反転して、引き返し始めたのだ。
結局、ブロードランは1月14日の夜明け前にノースドックに帰ってきた。

他方カラボザは、不思議なことに一旦ブロードランに付き添うように横浜の本牧沖まで戻ってきておきながら、再び反転して東京湾を出ていった。そして、1月17日に那覇軍港に単独 で到着した。


1月14日、ノースドックに戻ってきたLCUブロードラン。マストには米陸軍輸送科の旗が掲げられている(1.14 星野 撮影)

ブロードランの1月13日深夜から14日未明にかけての反転と横浜帰還は、予定通りの運行だったのだろうか。それとも、何か大きなトラブルが発生したのだろうか。
大きなトラブルゆえにカラボザが横浜まで付き添ったのだろうか。

14日、横浜に戻ってきたブロードランの船上には、複数の米兵の人影が何かをやっている様子が見えた。翌1月15日には、ノースドックを出て、ベイブリッジをくぐり抜けた少し先 まで往復するごく短距離の航行を行った。そして1月19日に、横浜ノースドックを出港した。

その後ブロードランは、四国の西側をまわって1月21日の午後に山口県の岩国基地に接岸した。しかし、数時間後の21日夜には再び岩国を出港している。
 カラボザとブロードランは、昨年1月半ばに横浜ノースドックを出港して沖縄に向かって以降、実質的に米陸軍の現役小型輸送艦として東南アジアを含む東アジア一帯の米軍の演習支 援や物資及び車両輸送の任務に就いてきたLCUだ。
 今回の出港は、この2隻が1年を越えて現役輸送艦として継続使用されることを意味するのだろうか。

 12月から1月にかけて横浜ノースドックに停泊していたカラボザとブロードランは、船橋のマストには米陸軍輸送科の兵科色の旗、船首には米軍の国籍旗、船尾には星条旗を掲げ、 米陸軍の現役輸送艦であることを誇示するかのようだった。

 横浜ノースドックに係留保管するだけの約束だったLCUが、いつの間にか現役輸送艦として使用され、横浜はなし崩しに米陸軍輸送艦の母港として使用されているのだ。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


ブロードランの船首部。米軍の国籍旗が掲げられている(1.14 星野 撮影)


2018-1-23|HOME|