横浜ND備蓄の陸軍舟艇、安保極東条項超える任務想定(上)
米陸軍基地での諸物資のメンテナンス、供給、輸送支援などの業務の概要を知らせるFBOの公告
米国政府の業務公告サイトFBOに、1月後半に米陸軍の公告「Enhanced Army Global Logistics Enterprise (EAGLE)」(Solicitation Number: W52P1J-18-R-0032)が掲載された。
この公告は、これから具体的な業務公募公告が出される、米国内や東アジアの米陸軍基地での諸物資のメンテナンス、供給、輸送支援などの業務の概要を知らせるものだ。
今回の公告で名前が挙げられている東アジアの米陸軍基地とは、横浜ノースドックと韓国のキャンプキャロル。どちらも、APS-4(Army Prepositioned stocks-4)の拠点である。
APSとは、米陸軍事前配備貯蔵のこと。つまり、米軍の戦争に必要な武器や車両、物資等を事前に貯蔵しておく拠点のことだ。APSは世界に5箇所あるが、横浜ノースドック、相模総合
補給廠、韓国のキャンプキャロルで1つの事前配備貯蔵拠点を構成しているのがAPS-4だ。
さて、今回の公告「Enhanced Army Global Logistics Enterprise (EAGLE)」の、APS-4としての横浜ノースドックにかんする記述が興味深い。
APS-4 Watercraft Yokohama North Dock, Japan: The contractor will Support the U.S. Army Prepositioned Stock (APS-4) Watercraft, Care of Supply in Storage (COSIS),
Exercise and Maintenance program located at Watercraft Equipment Base-Yokohama North Dock, Japan (WEB-YND). APS-4 Watercraft support military contingency and
humanitarian operations in support of U.S. Pacific Command (USPACOM) Area of Responsibility (AOR). The work includes accountability,
APS-4で横浜ノースドックに配備されている陸軍舟艇の訓練やメンテナンスを行う業務だということが書かれているのだが、同時に、APS-4で横浜に配備されている舟艇が、米太平洋軍
(USPACOM)の担当地域(Area of Responsibility (AOR))における有事や人道支援作戦を担うものであることが明記されているのだ。
では、その米太平洋軍の担当地域とはどこか。
米太平洋軍HPに、米太平洋軍の担当地域の地図が掲載されている。ハワイ、オアフ島に司令部がある米太平洋軍の担当地域は、太平洋のみならず、インド洋までも含まれる。中国本土
やモンゴル、インド、バングラデシュ、ミャンマー、インドネシア、オーストラリア、ニュージーランドなどがその範囲に含まれている。
つまり、横浜ノースドックに配備されている陸軍舟艇類は、中国やインド洋、東南アジアや南太平洋といった地域での「有事」などをにらんで配備されているということだ。
(RIMPEACE編集部 星野 潔)
米太平洋軍の責任領域。この域内での軍事行動は、陸海空軍を統合した太平洋軍が責任をもつ
2018-2-13|HOME|