横浜ノースドックに陸揚げされたCV22オスプレイ5機(18.4.4 星野 撮影)

CV22オスプレイ、横浜ND陸揚げ、横田に飛来

米国西海岸の米軍基地と西太平洋及び東アジアの米軍基地を結んで、米軍のさまざまな物資や車両の輸送業務に使用されてきた米国船籍の民間自動車運搬船グリーン・レイクが今回サン ディエゴを出港して横浜に向かったのは、3月21日のことだった。

まずはグアム島あるいは沖縄の米軍基地に入港し、それから各地の米軍基地をまわって北上していくのがグリーン・レイクの最近の通常のパターンだったが、今回は米国から直接横浜に やってくるのが、普段とは違っていた。

AISなどの情報では、当初、グリーン・レイクの横浜入港の予定は、4月4日となっていた。ところが、4月3日、防衛省はCV−22オスプレイの横田基地への前倒し配備を突然 発表し、「5機のCV−22オスプレイが本日船舶で横浜ノース・ドックへ到着予定であり、今週後半に横浜ノース・ドックから横田飛行場へ飛行する予定である」と自治体に連絡した。 そしてその直後、4月3日の夕刻に、グリーン・レイクは横浜に入港した。まさに当日、到着直前の発表と連絡だ。

防衛省の4月3日の発表には、「4月3日、在日米軍は米空軍CV−22オスプレイの横田飛行場への配備について発表しました」とある。しかし、4月4日の衆議院外務委員会で河野 外相は、すでに3月16日に在日米軍から通報を受けていたことを明らかにした。「米側から、調整が整うまでの間は公表を控えるよう要請された」とのことだが、4月3日に在日米軍 から知らされたことではなかったのだ。

CV−22の横田飛行場配備について(30.4.3 防衛省)など(横浜市のページ)

3月28日に「オスプレイと飛行訓練に反対する東日本連絡会」による外務省・防衛省への要請・交渉が衆議院第1議員会館でおこなわれた。外務省や防衛省に予め送付された要請文に は、「横田基地へのCV22の配備時期・機数や配備計画を正確に教えていただきたい」という質問が入っていた。それに対する防衛省の答えは、米政府内のことで「承知していない」、 というようなものだった。しかし、実際にはこのときにはすでに、政府、防衛省は米軍から通告を受け、配備時期などを「承知していた」わけだ。多数の国会議員も参加している交渉の 席上で、防衛省は平然と情報を隠ぺいし、事実と異なる説明をしたということだ。


横浜ノースドックのCV22オスプレイと、運搬船グリーン・レイク(18.4.4 星野 撮影)

4月3日の夕方、横浜ノースドックのHバースに接岸した自動車運搬船グリーン・レイクは、暗くなってから船体後方のランプウェイを降ろしたが、この日は結局、オスプレイの陸揚げ は行われなかった。

 グリーン・レイクがオスプレイの陸揚げを開始したのは、翌4月4日の朝8時30分頃からだった。早々に5機のCV−22が降ろされ、横浜港の南側(横浜港中心部)から見るとH バースの近くにある建物(米軍のつけた番号で507番の建物)の影となる位置に、ヘリモードの態勢で1列に並べられた。

グリーン・レイクからは同時に、複数の小型車両やコンテナなど物資が陸揚げされ、Hバースに並べられた。それらを使って、CV−22オスプレイの整備と飛行準備作業が4月4日の 陸揚げ後すぐに開始された。

グリーン・レイクは、4日の昼過ぎにはランプウェイを折りたたみ、同日17時頃には横浜を出港した。グリーン・レイクが向かったのは、クウェートの港だ。運航の担当地域が変更に なったのかもしれない。


横浜ノースドックの埠頭上を走行して離陸位置に向かうCV22オスプレイ


ノースドックを離陸し、横浜港上空を相模湾方面に向かうCV22(18.4.5 頼 撮影)

5機のCV−22が横田基地に向けて次々と横浜ノースドックのHバース付近を飛び立ったのは、5日の午前11時過ぎだった。飛行場ではない、埠頭施設からの離陸だ。
オスプレイは離陸後ベイブリッジの上を通過し、東京湾から相模湾に入り、相模川の上空を北上して横田基地に達するコースを通った。11時30分過ぎには、横田基地に着陸した。



4月5日11時半ころ、5機編隊で横田上空に姿を現し、横田の滑走路に着陸するCV22((C)横田・基地被害をなくす会)

5日午前にCV−22が飛び去った後のHバースには、グリーン・レイクが陸揚げした小型車両やコンテナなどの物資が残された。これらもCV−22に関連する部隊のものだろう。
Hバースに並べられたコンテナの1つに、「27SOW」「20AMU」と書かれているのがはっきりと読み取れる。
「27SOW」は「27th Special Operations Wing」、「20AMU」は「20th Aircraft Maintenance Unit」をそれぞれ意味していると見るべきだろう。

27th Special Operations Wingとは、米空軍第27特殊作戦航空団。ニューメキシコ州キャノン空軍基地所属の特殊作戦コマンドだ。この第27特殊作戦航空団の配下に、CV−22オスプ レイの第20特殊作戦飛行隊20th Special Operations Squadronが属している。
他方、20th Aircraft Maintenance Unitは、第20航空機整備ユニット。キャノン空軍基地のユニットで、まさに航空機整備を担当している。このユニットは、727th Special Operations Aircraft Maintenance Squadronに属している。

つまり、今回は、まずはキャノン空軍基地所属の部隊が出張ってきたという形で横田にやってきたということなのではないか。これらの部隊が今後どう動くのか、注視が必要だ。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


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