「謎の貨物船」ノースドックで作業



横浜ノースドックに接岸した籐隆丸と埠頭に並ぶ海兵隊の車両

自動車運搬船グリーン・ベイは4月17日の未明に横浜ノースドックを出港した。 代わって、その直後、17日に入港したのが、日本の民間貨物船の藤隆丸だ。

この藤隆丸は民間の貨物船なのだが、自動船舶識別装置(AIS)を切ったまま運航しているようで、その動向は把握できない状態になっている。

17日午前、ノースドックに入港した藤隆丸は、クレーンを横付けして荷役作業を行い、短時間で出港していった。陸上自衛隊のミサイル部隊の物資か、あるいは米海兵隊の物資の輸送 を行ったものと考えられる。

荷役作業のなかで、気になる場面があった。
荷役作業を行っている藤隆丸の船倉を、日本の民間業者の労働者だけではなく、迷彩服を着た複数の人物がのぞき込む場面があったことだ。
それだけではない。迷彩服姿の人物が藤隆丸の船橋の上に立って、作業をのぞき込むシーンもあった。

これらの迷彩服姿の人物が自衛隊員であろうと米兵であろうとどちらにしても、日本の民間業者が請け負った業務の遂行方法にかんして、もしも万一にも労働者に対して実質的に指揮命 令を行っていたとしたら、それは深刻な問題なのではないか。

そもそも請負契約においては、注文主(この場合は日本の防衛省か米軍)と労働者との間には、指揮命令の関係は発生しないはずだ。まさか、貨物船を運航している民間業者が、自衛隊 あるいは米軍の指揮命令のもとで働くように労働者を派遣したわけではあるまい。
万一、労働者派遣の契約だったとしたらそれはまた大問題なのだが、おそらく今回のケースは労働者派遣ではなく、輸送業務の請負契約だったはずだ。

日本の民間企業の労働者が、その業務の遂行方法について、自衛隊あるいは米軍から指揮命令を受ける関係になってはならないし、それを正当化する法は存在しないはずだ。
では、日本の民間貨物船の船橋の上で、迷彩服姿の人物は一体何をしていたのだろうか。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)(18.4.17 星野 撮影)


籐隆丸の船橋から見下ろすのは自衛隊員か、米兵か?


2018-5-5|HOME|