オリエントシールド演習、横浜NDで撤収(2)

米軍、横浜港に弾薬コンテナを持ち込む


NDに並ぶ車両や物資とオーシャン・グランド。(9月17日、頼 撮影)


砂漠迷彩のトラックの積み込み(9月17日、星野撮影)


ジャングル迷彩のタンクローリーの積み込み(9月19日、星野撮影)

 9月15日の夜、貨物船オーシャン・グランドが横浜ノースドックに再入港し、19時30分過ぎ頃に接岸した。

 8月26日から28日にかけてノースドックでオリエントシールド演習のための車両やヘリや物資を陸揚げしたオーシャン・グランドは、その後、横浜に来る前に入港していたタイのサッタヒープ港 に戻っていた。
 手間や燃料のロスを考えれば無駄とも思える動きだが、米・タイ陸軍の合同軍事演習ハヌマン・ガーディアンで使用した装備類を回収していたのだろう。

 16日午後以降、ノースドックでブラックホークヘリや車両、その他コンテナなどを回収したオーシャン・グランドは、20日午前に横浜を出港した。

 ところで、オーシャン・グランドが15日夜に再入港した際には、すでに甲板上にコンテナや車両がいくつか並べられていた。タイで回収してきたか、あるいはこれまでオーシャン・グランドが巡 回してオーストラリアや東南アジア各地で行ってきた軍事演習で使用され回収されたものだろう。

 それら甲板に並んでいたコンテナのうち、カーキ色のコンテナには「AUSTRALIA AMMO」、緑色のコンテナには「INDONESIA AMMO」と読める文字が書かれた紙が貼られていた。その他に、フォー スプロバイダーのコンテナもあった。

「AMMO」とは、もちろん「AMMUNITION」の略語、つまり弾薬のことだ。
これらのコンテナには、Hazardous Material Placards、すなわち危険物を表示するプラカードも貼られていた。危険物の分類は、Explosives 1.1Dだ。Explosivesとは爆発物を表す。米国政府の危 険物表示分類によれば、1.1Dには、例えばblack powder(黒色火薬)やBombs(爆弾)などが含まれる。

オーシャン・グランドの甲板上のExplosives 1.1D危険物プラカードが掲げられたコンテナの隣には、Explosives 1.1Eの表示が付けられたコンテナも並んでいた。1.1Eに分類される危険物には、 Cartridges for weapons, with bursting charge(炸薬入りの弾薬筒)やTorpedoes with bursting charge(炸薬入りの魚雷)などが含まれる。

つまり、横浜港に入港した貨物船オーシャン・グランドの甲板上には、爆発の危険のある弾薬が入った、あるいは入っていたコンテナが並べられていた、ということだ。

横浜市はこれまで、米軍の演習で横浜ノースドックに車両や物資の搬入が行われる際には、ノースドックに弾薬の搬入を行わないことなどを日本政府に申し入れてきたが、この横浜市の要請を公然 と無視して弾薬が横浜港に持ち込まれた可能性が高い。埠頭上に陸揚げしなかったから持ち込みでは無い、などという屁理屈は通らない。

横浜市や神奈川県は、早急に事実関係を確認し、米軍や日本政府に厳重に抗議し、再発防止を約束させるべきではないのか。
そして、横浜市基地対策課や神奈川県基地対策課が率先して、米軍への監視活動を強化すべきではないか。

仮に、今回は弾薬コンテナの中身が空っぽだったと米軍が主張したとしても、それを見過ごすならば、今後は中身の入った弾薬コンテナを我が物顔で横浜港に持ち込んでくることになるだろう。 

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


オーシャン・グランド甲板上のコンテナ。右側のカーキ色のコンテナに貼られた紙には「AUSTRALIA AMMO 1」、
隣の緑色のコンテナに貼られた紙には「INDONESIA AMMO 1」と書かれているのがかすかに読める。


上の写真の拡大。Explosives 1.1Dののプラカード(右)とExplosives 1.1Eのプラカード。どちらも弾薬などの爆発物が入っていることを示す危険物表示だ。
(9月17日、頼 撮影)


2018-10-2|HOME|