日米「共同使用」の場所をめぐる謎
防衛省が発表した、8月26日から28日まで、及び9月14日から16日まで、日米共同使用がなされる場所を示す横浜NDの図面
8月27日のEバース付近。共同使用が行われている様子は全く無い。(8月27日、星野撮影)
防衛省発表の図面によると、写真中央の芝生グラウンドが共同使用されるということだったが、その様子は全くうかがえない。(8月28日、星野撮影)
2018年の日米合同軍事演習オリエントシールドでは、昨年と同様に、横浜ノースドックが米軍ヘリや車両などの搬入、撤収の舞台となった。
7月26日の日米合同委員会では、オリエントシールド演習を実施するために横浜ノースドックの「一部土地」を共同使用することの承認がなされている。8月26日から28日まで、及び9月14日から16日までの期間、NDの土地約12000平方メートルを共同使用するという内容だ。演習の一環として、米軍の搬入及び撤収作業を陸上自衛隊も一緒に行ったということなのだろう。
確かに、とりわけ搬入の際には、陸自のトラックとも見える車両がNDに並んでいるのが確認され、陸自隊員にも見える迷彩服姿の人物が複数、ND内で目撃されている。
問題は、防衛省が発表した図面における、共同使用される「一部土地」の場所が正しかったのか、ということだ。
防衛省は、7月26日の日米合同委員会の合意について、共同使用される場所を示した図面を添付して発表している。この図面によれば、共同使用がなされる場所は、埠頭の西側の陸地近くにある芝生のグラウンドと、Eバース付近の空間の2箇所のはずだった。
しかし、米軍の搬入及び撤収作業を連日監視した私たちが見た限りでは、防衛省が発表した地図で示された場所では「共同使用」は行われていなかった。
今回、もしも自衛隊が実際にはND内の別の場所を「共同使用」して活動していたのであれば、事は重大だ。自衛隊の活動について防衛省が発表した図面がデタラメだったということだからだ。
間違った図面であることをはじめから知っていながら発表したのであれば、防衛省は米軍との共同演習に関して虚偽の情報を発表したということになる。
また、もしも現場の陸自隊員と米軍側が、共同使用区域として指定された場所を勝手に変えていたのであれば、日米の現場部隊が統制を外れて暴走したということになる。どちらであっても、深刻な問題だ。
(RIMPEACE編集部 星野 潔)
撤収作業期間中のEバース付近。共同使用の気配は全く無い。(9月15日、星野撮影)
搬入作業期間中、NDに並ぶ陸自トラックに見える車両。並んでいるのは、防衛省が共同使用の場所として発表したところとは違う場所だ。(8月27日、頼 撮影)
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