今年4月、横浜NDで作業をする陸自ホークミサイル部隊


今年4月8日、横浜NDの「507」番の建物の横に、陸自トラックが停まっているのが確認された。(2019.4.8星野撮影)


「507」番の建物の横に乗り付けた、3台の陸自トラックと陸自隊員。(2019.4.9星野撮影)

 8月22日に横浜ノースドックで陸上自衛隊が基地警護訓練を行ったことについて記事を書いたが、実は近年、横浜ノースドック、さらには横浜港での自衛隊の行動が活発化しつつある。

 今年の4月には、陸自のホークミサイル部隊がノースドックで作業を行っているのが確認された。この陸自ホークミサイル部隊の件について、改めてここで振り返っておこう。

 陸自のトラックが横浜NDに出入りしているのが確認されたのは、4月11日頃のことだった。ノースドックの最も先端部にある建物、米軍がつけた番号で507番の建物に、陸自トラックが乗り入れて、何事か作業をしている様子が目撃されている。
 その後も連日、複数の陸自トラックがNDに現れては、507番の建物に乗り付けているのが確認されていた。

 4月11日にノースドックから出てきた3台の陸自トラックは、いずれもホークミサイル発射装置を牽引しており、荷台にはレーダー装置の一部とも見える機器が載せられていた。また、いずれのトラックも「高教」の表示が付いていた。つまり、今年4月に横浜NDに出入りしていた陸自トラックは、千葉県の下志津駐屯地にある陸上自衛隊高射学校高射教導隊所属の車両であり、そのホークミサイル部隊だろう

。  ちなみに昨年4月にも、陸自ホークミサイル部隊のミサイルや車両が横浜NDに多数集結しているのが目撃されている。


横浜NDから出てきて、村雨橋方面に向けて進む陸自トラック。ホークミサイル発射装置を牽引している。
バンパーには、陸自高射学校高射教導隊を示す「高教」の文字が書かれている。(2019.4.11星野撮影)


横浜NDから出てきて、横浜の市街地を走る2台の陸自トラック。いずれもホークミサイル発射装置を牽引し、荷台にはレーダー装置
の一部にも見える装置を積んでいる。この2台も、「高教」、つまり陸自高射学校高射教導隊所属のトラックだ。(2019.4.11星野撮影)


NDの「507」番の建物から出てきて扉を閉める、陸自隊員と見られる人影。(2019.4.15星野撮影)

 ところで、確かに、米軍基地である横浜ノースドックの一部の建物は、陸上自衛隊が共同使用していることになっている。

しかし、2010年2月4日に防衛省が発表した日米合同委員会合意概要に添付された図によると、陸自が共同使用している建物は507番の建物ではないことは明白だ。その後、2010年2月4日以降に、日米合同委員会で横浜NDの別の建物を共同使用する新たな合意がなされたという発表は行われていないはずだ。また、今年4月に陸自が507番の建物を使用する前に、日米合同委員会が、期間を区切って507番の建物を共同使用すると合意したという発表も、無かった。

 とすると、今年4月、陸上自衛隊は日米合同委員会による共同使用の合意も無いままに、日米地位協定の手続きを全く無視して、横浜NDの施設を勝手に使っていた、ということなのだろうか。米軍も、日米地位協定の手続きを無視して、日米合同委員会の合意も無いままに横浜NDを陸自に使わせていた、ということなのだろうか。

 米軍と自衛隊という実力組織が、法手続を無視して暴走しているということであるならば、きわめて危険で恐ろしいことだ。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


日米合同委員会合意概要に添付された図


2019-8-30|HOME|