横浜NDで陸上自衛隊が基地警護訓練


8月22日夕方、横浜NDの先端部に停まった陸自の軽装甲機動車から複数の隊員が降り立った。彼らは小銃を持ち、ヘルメットと防弾チョッキで身を固めていた。


小銃を持ち、軽装甲機動車の周囲を警戒する陸自隊員。


銃を持って警戒する隊員と、突っ立って眺めている隊員がいる。

 横浜ノースドックで陸上自衛隊による米軍基地警護訓練が行われた。

 横浜市が防衛省からの情報を8月初めに市会議員に伝えたところによると、横浜ノースドックでの陸自の米軍基地警護訓練は8月22日から23日にかけての日程だったという。

 確かに8月22日の夕方には、横浜ノースドック・瑞穂埠頭の先端部分に現れた陸自の軽装甲機動車から、防弾チョッキとヘルメットに身を固め小銃を持った重装備の複数の陸自隊員が下車し、既にその場にいた別の6人ほどの隊員とともに計9人ほどで、周囲を警戒するかのような動作をしている様子が目撃された。その際、銃を持つ隊員は、それをいつでも撃つことができる態勢をとっていた。ただし、よく見ると、重装備で周囲を警戒する動作をする隊員と、それを突っ立って眺めている隊員がいるようにも見えた。

 この軽装甲機動車と隊員たち以外にも、8月22日には陸自の1/2トントラックや幌付きトラックがノースドック内にいるのが目撃されている。

陸上自衛隊による米軍基地警護訓練は、自衛隊法第81条の2に規定された「警護出動」を「根拠」と主張して行われている。
この「警護出動」の規定は、2001年9月のいわゆる「9.11テロ」をきっかけに、同年11月の自衛隊法改定で盛り込まれたものだ。神奈川県内では、さっそくこの自衛隊法改定の翌月、つまり2001年12月に、キャンプ座間と相模総合補給廠で陸上自衛隊による基地警護訓練が行われている。その後、2004年以降、毎年のようにキャンプ座間や相模総合補給廠で陸上自衛隊による警護訓練が行われてきた。この「警護訓練」を行う対象の基地が、近年広げられてきたようにも感じられる。

 なお、防衛省は、自衛隊が米軍基地を警護する訓練を行うことができるのは自衛隊法第81条の2が根拠なのだと主張しているのだが、この条文には、平時に訓練と称して自衛隊が米軍基地で「警護」活動をしても良い、とは書かれていない。書かれているのは、内閣総理大臣が自衛隊の「警護出動」を命ずることができる場合(繰り返すが「訓練」はそこに挙げられてはいない)と、「警護」の対象、そして「警護出動」を命ずる場合の手続きなどだけである。


ノースドックの先端部に展開した軽装甲機動車と陸自隊員たち。


陸自の1/2トントラックと幌付きのトラックが駐車しているのが見える。


夜の横浜NDに、陸自軽装甲機動車が見えた。

 ところで、この陸自による横浜ノースドック警護訓練についての、横浜市の情報の取り扱い方について、重大な問題を指摘しておきたい。

 横浜ノースドックでの警護訓練とほぼ同時期、8月19日から23日にかけて、キャンプ座間と相模総合補給廠でも陸上自衛隊は米軍基地警護訓練を行っているのだが、相模原市は、この訓練について南関東防衛局と陸上自衛隊から寄せられた情報を市のHPにも掲載し、まがりなりにも一般の市民に知らせる姿勢は見せている。

 ところが横浜市は、確かに市会議員には訓練の情報を知らせてはいるのだが、一般の市民に対しては一切、情報を知らせようとはしていない。市の基地対策課HPを見ても、情報は全く掲載され ていない。これは一体どういうことなのか。なぜ一般の市民には知らせず、隠すのか。

 横浜市の、防衛省・自衛隊に関する情報の取り扱い方に強い疑問を持たざるを得ない。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)(2019.8.22星野撮影)


陸自の1/2トントラックから降りてきた、陸自隊員たちと見られる2人組が、2つの箱のようなものに入った液体をノースドック先端部の「すべり」のとこ
ろから海に流し込んで捨てていた。仮にこれらの液体が単なる水であったとしても、下水に流すべきだ。何らかの廃液や油や化学物質などの汚染水であったな
らば、海に捨てるのは論外だ。いずれにしても、勝手に海に捨てるべきではない。基地という「機密」に守られた空間で、一体何が行われているのだろうか。


2019-8-26|HOME|