FA18、横須賀から横浜NDに搬入


バージに載せられて横浜NDに運ばれてきたFA18。バージを押しているのはYT−806米海軍タグボート。


機体に記された番号は100番。スーパーホーネットを載せているバージはYCV19。

 11月20日午前11時頃、1機の米海軍FA18戦闘攻撃機がバージに載せられて横浜ノースドックに運び込まれた。

 搬入されたFA18の機体に書かれている番号(モデックス)は100。原子力空母ロナルド・レーガン艦載部隊である第5空母航空団の第102戦闘攻撃飛行隊に所属する複座のスーパーホーネットFA18−Fだ。11月2日にロナルド・レーガンが横須賀に戻ってきた際、岩国基地に飛行して帰らずに1機だけ飛行甲板上に置かれていた機体だ。やはり、飛行できないほどの深刻な故障または事故を起こしていて、横浜経由で米本国に貨物船で送り返されるのだろう。

 FA18−Fを載せて横浜にやってきたバージYCV19は、浦郷弾薬庫に常駐していて、普段は艦船の弾薬積み下ろしの際に使われているものだ。このYCV19を横浜に引っ張ってきたタグボートはYT−806。横須賀基地で使われている米海軍タグボートだ。

 さて、今回運び込まれたFA18も、搬入直後に防湿フィルムで全身をコーティングされて白装束姿となったのだが、その横浜ND内での一時保管場所が「傑作」だ。

 既に横浜NDには、今年前半のパトロール航海で飛行不能となり8月末に運び込まれたFA18−Fが1機、白装束姿で米本国に向けて搬出する貨物船の到着を待っている。この「先客」と仲良く並べられて搬出を待つのかと思いきや、そうではなかった。

 今回新たに白装束姿になったFA18、NF100は、NDに大量に保管されている米陸軍の揚陸作戦用の機材である組み立て式「いかだ」(Modular Causeway System, MCS)でつくった壁のなかに、わざわざ隠すように運び込まれたのだ。結局、上手に隠すことはできなかったのだが、よほど今回のNF100の白装束姿を市民に見せたくないか、あるいは横浜港に白装束FA18が2機並ぶ姿を曝したくない、ということだろう。

 しかし、米軍のやるべきことは、このような姑息なやり方でFA18の深刻な故障あるいは事故を隠すことではない。どのような故障あるいは事故が起きたのか、その原因は何であったのか、そしてそれについてどのような対策をとったのか、情報を公開して説明するべきだ。もしも原因が分かっていないのならば、あるいは対策がとられていないのならば、FA18を飛ばすべきではない。

 また、日本政府や自治体はこれらのFA18の故障原因と対策の情報公開を米軍に要求すべきだ。米軍の意向の忖度を優先して日本社会の市民や環境を危険に曝すことが政府や自治体の仕事ではないはずだ。

 ところで、横浜NDに出現した白装束FA18は、昨年夏から数えて今回で5機目となった。パトロール航海のたびに毎回、壊れて使用不能になるFA18が現れて、横浜に運び込まれているのだ。空母を運用するということは、きわめて高価な艦載機を頻繁に壊し続けていくということでもあるのだろう。そしてそのことは、巨大軍需企業に「血税」をジャブジャブと流し込み続けることを意味するのだ。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


11月21日午前の横浜ND。中央に見える白装束FA18は、既に8月末に運び込まれていた機体。その周囲には、今回運び込まれたFA18の姿は見えない。


赤丸で囲ったところに、今回搬入されたFA18−Fの姿が見える。11月21日午前の時点で、既に白装束姿になっていた。
なお、後方に見えるのは、音響測定艦ロイヤル。また、後方左側に船体の一部が見えるのは、音響測定艦エフェクティブ。


MCSの壁の中に「隠された」白装束FA18。その脇には牽引用の小型車両が置かれている。(2019.11.21星野撮影)


2019-11-24|HOME|