横浜港の民間施設で燃料補給する海自補給艦


1月24日の夜、横浜港の大東タンクターミナル5号岸壁に停泊する海上自衛隊の補給艦「ときわ」(2020.1.24星野撮影)


2019年7月22日、ベイブリッジをくぐり横浜港に入港する海自補給艦「ましゅう」(2019.7.22星野撮影)


「2019年7月22日、横浜港の大東タンクターミナル5号岸壁に停泊する海自補給艦「ましゅう」(2019.7.22星野撮影)」


大東タンクターミナル横浜油槽所5号岸壁(2019.8.6星野撮影)

 1月24日の午後3時前に、海上自衛隊の補給艦「ときわ」が横浜港に入港した。接岸したのは民間の燃料補給施設、大東タンクターミナル横浜油槽所5号岸壁だ。目的は燃料の補給だろう。しかし、給油にしては、翌25日午前までのずいぶん長い滞在だった。

海上自衛隊の基地ではない横浜港の民間施設での、海自補給艦のこのような燃料補給は、実は少なくとも近年、珍しいことではなくなっている。

 昨年7月22日には、海自の補給艦「ましゅう」が横浜港の同じ大東タンクターミナル5号岸壁に数時間接岸して燃料補給を受けている。その直後、この「ましゅう」横浜寄港について福島みずほ参議院議員事務所から防衛省に資料請求の形で質問を行った。防衛省からは2019年8月8日に回答があった。質問と防衛省の回答は以下の通りだ。

 ちなみに、「ましゅう」の基準排水量は13500トンで、基準排水量8150トンの「ときわ」よりもかなり大きな補給艦だ。「ましゅう」型の大型補給艦は、「日米軍事一体化」の動きが進んだ21世紀に登場した。海自艦船による海外での活動を視野に入れた存在だ。

 福島みずほ参院議員あての防衛省の回答によれば、「ましゅう」の横浜港大東タンクターミナルでの燃料補給は、昨年7月が初めてだったという。他方「ときわ」は、2017年10月から2019年7月までの間に5回も横浜港の大東タンクターミナルに接岸して燃料搭載を行っている。2017年度よりも前の状況は不明だが、少なくとも近年は、頻繁に入港しているのだ。また、民間施設である大東タンクターミナルには防衛省が契約しているタンクがあるのだという。

 しかし、そもそも横須賀基地に海自の燃料補給施設があるはずだ、なぜわざわざ横浜に入港して民間施設で燃料補給を受けるのか、という疑問が湧く。防衛省は、次のようにその理由を「説明」する。

 すなわち、「海上自衛隊が横須賀に保有する施設においてもましゅうへの給油は可能であるが、ましゅうは補給艦であるため大容量の給油が必要となるところ、横須賀における他の自衛隊艦船への補給所要等を総合的に勘案して横須賀ではなく大東タンクターミナルで補給することとした」と。

 つまり、海上自衛隊が艦船を大型化させ、米軍の求めに応じて行動範囲を拡大していけばいくほど、燃料補給は横須賀基地内の施設ではまかないきれなくなり、補給艦が横浜港で燃料補給を受けることが多くなっていく、ということではないか。

 横浜港には、ジャパンマリンユナイテッド磯子工場や鶴見工場、三菱重工横浜製作所本牧工場など、海自の重要インフラとして機能してきた民間企業の工場もあるが、燃料補給という点でも、基地と民間港との境界がさらに曖昧なものになってきているのではないだろうか。

 なお、上記の防衛省回答に示された海自艦船の横浜入港状況のデータは、2019年8月初めの時点でのものだ、その後、同年8月後半には特務艇という名の宴会艇「はしだて」が大さん橋に来て、招待客を乗せて事実上の「生演奏付きサマーナイト横浜港内宴会クルージング」を行っているし、10月には観艦式(とそれにかこつけた大さん橋での初の、ヘリ空母と護衛艦2隻同時一般公開)のためとして、護衛艦やヘリ空母、輸送艦が多数、大挙して横浜港に入港している。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


福島みずほ参院議員から防衛省宛の質問


防衛省からの回答


防衛省からの回答の別紙


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