米陸軍LCU、広弾薬庫に寄港
5月22日、広弾薬庫に接岸したLCUポート・ハドソン。搭載しているオレンジ色のボートが海面に降ろされているのが見える。
(2020.5.22 ピースリンク広島・呉・岩国 撮影)
米陸軍第836輸送大隊呉分遣隊がLCUポート・ハドソンにコンテナを積み込む写真。コンテナには、Hazard Class 1 の
危険物表示のプラカードが貼り付けられているようにも見える。(米陸軍第836輸送大隊FBより転載、2020.5.23撮影)
米陸軍大型揚陸艇(LCU)ポート・ハドソン(LCU2035)が5月22日、呉市の米軍基地である広弾薬庫に接岸した。
保管するだけで運用しないという約束で横浜ノースドックに運び込まれたl0隻のLCUのうちの1隻であるポート・ハドソンは、同じLCUのハーパース・フェリー(LCU2022)とともに現在、約束を踏みにじって陸軍輸送船として沖縄を拠点に運用されているが、コロナ禍で米軍も緊急事態を宣言し軍人の移動を制限する中、4月29日に沖縄のホワイトビーチを出港し、5月3日の午前3時過ぎに横浜ノースドックに戻ってきていた。
横浜滞在中もえんじ色の米陸軍輸送科の旗をマストに掲げ、船尾には星条旗を掲げ続けたポート・ハドソンは、5月7日の夕方には横浜港内を約30分航行した。操船訓練だったのだろう。しかし、いつから米軍が日本の民間港で訓練することが許されるようになったのだろうか。
1974年12月、山口県岩国市沖合の無人島で米海兵隊ヘリコプターが勝手に訓練を行い、山林火災が発生する事件があったのだが、翌年2月25日の衆院予算委員会第二分科会と3月3日の衆院予算委員会でこの事件が取り上げられ、答弁に立った三木首相、宮澤外務大臣、山崎外務省アメリカ局長はいずれも、日米合同委員会が決定した施設・区域外での米軍の訓練は安保条約違反であることを明言している。この時の国会での首相答弁を、その後日本政府が明確に撤回する意思表示をしたという話は聞いたことがない。
ポート・ハドソンはその後、5月20日の朝に横浜を出港した。そして冒頭に述べたように、5月22日の朝に広弾薬庫に到着した。翌5月23日には広弾薬庫を出発し、27日に沖縄のホワイトビーチに到着している。
横浜NDに駐屯する米陸軍第836輸送大隊は5月27日、フェイスブックに同大隊呉分遣隊が5月23日にポート・ハドソンにコンテナを積み込む作業を行っている写真を掲載した。第599輸送旅団がアルバムに投稿した写真を転載したものだ。写真はいずれも解像度が低く、コンテナの詳細の把握は困難だが、弾薬などを意味するHazard Class 1の危険物表示に見えるプラカードが複数のコンテナに貼られているのが確認できる。
LCUはこれまでも広弾薬庫から沖縄への弾薬輸送に使われている。今回も、ポート・ハドソンは弾薬などの輸送を行ったのではないか。
なお、ポート・ハドソンとともに輸送船として運用されているLCUハーパース・フェリーも、5月8日に那覇軍港を出港し、5月11日に横浜NDに戻ってきた。このハーパース・フェリーも、5月21日の夕方から夜にかけて、横浜から浦賀水道付近までを往復する航海を行っている。やはり、訓練航行だろう。5月27日には、複数の兵士や乗組員が甲板上で作業を行っている様子が目撃されている。コロナ禍の中でも、米陸軍はLCUを使用した何らかの訓練を行っている模様だ。
(RIMPEACE編集部 星野 潔)
5月3日、横浜NDへの入港当日のポート・ハドソン(35の番号の船)。この日の午前3時過ぎにNDに接岸した。艦の後部には、黒いTシャツに
オレンジ色の短パンというラフな格好をした乗組員とみられる人物が、飲み物を片手にリラックスしている様子が見える。(2020.5.3星野撮影)
5月7日夕方、横浜港内を航行するポート・ハドソン。訓練航行とみられる。マストにはえんじ色の米陸軍輸送科の旗が掲げられている。(2020.5.7星野撮影)
5月11日から横浜NDに入港中のハーパース・フェリーの甲板上には、複数の兵士や乗組員の姿が目撃された。(2020.5.27星野撮影)
2020-5-30|HOME|