音響測定艦インペッカブル、シンガポールから横浜に


7月13日の昼頃、タグボートの助けを借りて横浜NDのHバースに接岸する音響測定艦インペッカブル。(2020.7.13読者撮影)


インペッカブルの入港で、NDにはインペッカブル(右)とビクトリアス(左)の2隻の音響測定艦が並ぶことになった。(2020.7.13星野撮影)

 7月13日の昼、音響測定艦インペッカブルが横浜ノースドックに入港した。今回、インペッカブルはシンガポールを6月29日に出港して、おそらく他の港には立ち寄らず横浜にやってきた。船舶自動識別装置(AIS)の情報によれば、7月7日頃沖縄近海を航行していたとみられるので、沖縄付近からは約6日かかったということだろう。

 シンガポールから横浜へのインペッカブルの移動にあたって、米軍は新型コロナウィルス感染拡大を防止するためのどのような措置をとったのだろうか。米軍MILITARY SEALIFT COMMANDのShip Inventoryには、インペッカブルの乗員は軍人が10〜20人、軍属が26人と書かれている(7月14日閲覧)。彼らは横浜入港後、どのように過ごしているのだろうか。

 インペッカブルが横浜NDに現れたのは、今年1月20日に出港して以来のことだ。1月20日に横浜を出たインペッカブルは、2月2日にシンガポールに到着した。横浜から真っ直ぐにシンガポールに向かったということだろう。その後6月後半までシンガポールに居座り続けたインペッカブルは、何らかの整備工事をしていた可能性もある。

 ところで、5月18日から23日にかけて高速輸送艦ミリノケットがグアムから横浜NDにやってきていたのだが、同艦は5月23日の横浜出港後シンガポールに向かい、6月6日にシンガポール北部のセンバワンに到着した。

ミリノケットがシンガポール北部に到着すると間もなく、6月8日にはインペッカブルがシンガポール南部から移動して、ミリノケットの真後ろにピッタリとくっつくような位置に停泊したらしい様子がAISで確認された。AISで発信された両艦のこのような動きが実際の動きを示していたとするならば、ミリノケットは、横浜NDからシンガポールまで、音響測定艦インペッカブルに必要な何らかの資材を運んだ可能性があるということではないだろうか。

 横浜NDでは、インペッカブル以外の音響測定艦の動きも、相変わらず活発だ。
米海軍の保有する音響測定艦は、インペッカブル、ビクトリアス、エイブル、エフェクティブ、ロイヤルの5隻だが、ビクトリアス、エイブル、エフェクティブ、ロイヤルの4隻も6月以降も代わる代わる横浜に姿を見せており、NDのふ頭に音響測定艦が2隻同時に並ぶことが常態化している。

7月3日にロイヤルが出港して、一時、横浜から音響測定艦の姿が消えた期間があったが、7月9日の午前中にはビクトリアスがNDに戻ってきた。そして、13日のインペッカブルの入港だ。

 任務期間を終えて横浜NDに入港した音響測定艦は、搭載しているオレンジ色のボートをふ頭に降ろし、その整備作業を行うことが多い。どうやらオレンジ色のボートは、単なる救命ボートではなく、音響測定艦の通常任務遂行の際にも何らかの役割を果たしている、ということではないだろうか。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


インペッカブルの後ろには、ソナーのリールを載せたバージが運ばれてきた。(2020.7.13星野撮影)


NDに並ぶエイブル(右)とロイヤル(左)。ロイヤルのオレンジ色のボートは取り外されて脇に置かれている。(2020.6.20星野撮影)


2020-7-14|HOME|