横浜ノースドックの戦時備蓄倍増の恐れ (1)

LCU2隻クウェートからNDに搬入



クウェートから運ばれて来て、横浜ノースドックに接岸したLCU2隻(20.11.8 星野 撮影)

クウェートで備蓄されていたLCU(大型揚陸艇)2隻が、11月8日に横浜ノースドックに到着した。7日に重量物運搬船に載せられて横須賀沖に到着していたLCUだ。

20年以上前に、横浜ノースドックに米陸軍の上陸用舟艇セットが運びこまれた。LCU10隻、大型タグ、小型タグ、クレーンバージ、平タグ、浮きいかだセットなどで構成される 米陸軍「水上部隊」の舟艇や資機材が、2002年8月から2004年9月にかけて5回以上に分けて横浜に到着した。
それ以来、グレーの舟艇やコンテナ様のいかだセットが、ノースドックのあちこちにつながれ、また陸上保管されている。

20年前に横浜に持ち込まれた上陸用舟艇セットは、それまでインド洋の島・ディエゴガルシアで貨物船に載せられて洋上備蓄されていた。LCUやクレーンバージ、タグなどは、車両 とは違って、そう簡単に本国から最前線に運びこめるものではない。だから揚陸艇などは、使う可能性のある場所に比較的近いところに備蓄してある。
上陸用舟艇セットや移動病院セット、パイプライン・セット、弾薬など必要に応じて大量の資機材のストックが、戦域の中、あるいは近傍に配置してある。戦域ごとにナンバーを振って 、APS−4,APS−5などとよばれている。APSは Army Prepositioned Stock の略号で、極東のストックはAPS−4で韓国と日本に保管されている。

米陸軍事前集積物資ストックのうちの一つ(APS−3)がディエゴガルシアとサイパンで大型貨物船に載せて洋上保管されていた。ディエゴガルシアにいた貨物船の積み荷に、上陸用 舟艇セットが含まれていた。
当時、この上陸用舟艇セットは米本国以外ではディエゴガルシアとクウェートにあった。クウェートに置かれたAPS−5には、備蓄弾薬などとともに上陸用舟艇セットも含まれていた。 20年前、米陸軍の事前集積物資ストック(APS)の配置は、下図のようになっていた。

2002年から始まった、横浜ノースドックへの上陸用舟艇セットの搬入は、ディエゴガルシアのAPS−3から、極東のAPS−4への上陸用舟艇セットの移動を意味した。
洋上保管のほうが機動性に勝るが、維持コストの少ない陸上保管に切り替える、という費用面からの要請があったと考えられる。

(RIMPEACE編集部 頼 和太郎)


米陸軍戦略大学戦略研究プロジェクトの資料(2003.7.4)より


2020-11-17|HOME|