船体後部のランプウェイからパトリオット・ミサイル発射装置の積み込みが続く、高速輸送艦グアム。(2021.3.19星野撮影)

高速輸送艦グアム、横浜でミサイルランチャーなどを積み込みか


ミサイルランチャーと見られる物体が4本ずつ、複数回にわたってグアムに積み込まれた。


パトリオット・ミサイル部隊の車両と見られる8輪トラックのHEMTTが現れた。


パトリオット・ミサイル発射システムの一部と見られる装置も、グアムに複数積み込まれた。(3.19星野撮影)

 3月19日、横浜NDに短時間寄港した高速輸送艦グアムに、ミサイルランチャーなどミサイル関連の装備が積み込まれた。

 今回、グアムは、佐世保に約11日間滞在した後、3月17日に韓国のポハン、18日に岩国にそれぞれ数時間寄港した後、19日午前に横浜にやってきた。

 横浜NDでは、入港直後から車両や物資の搬出入作業が行われたが、その作業の後半に、フォークリフトが4本ずつ複数回、パトリオット・ミサイルのランチャー(発射装置)とみられる物体をグアムに積み込んでいるのが目撃された。さらに、パトリオット・ミサイル発射システムの一部と見られる装置や、同じくパトリオット・ミサイル部隊のものと見られるHEMTT(Heavy Expanded Mobility Tactical Truck, 重高機動戦術トラック)も、グアムに積み込まれた。

 これらパトリオット・ミサイル発射装置や装備は、一体どこから現れたのか。なぜ横浜でミサイルランチャーを積んだのか。

 日本にある米軍基地で、パトリオット・ミサイルが配備されているのは、嘉手納基地だ。
 昨年秋、10月26日から11月5日にかけて厚木基地で、嘉手納基地に配備されている米陸軍パトリオット部隊の移動展開訓練が行われた。

 パトリオット部隊のミサイルなどの装備や車両は、沖縄からやってきた自動車運搬船グリーン・レイクから10月21日に横浜に陸揚げされ、厚木基地に搬送された。訓練期間終了後は、11月9日頃に再びパトリオット・ミサイル部隊の車両がノースドックに並べられたことが確認されている。それらの車両は、11月18日に横浜に入港した自動車運搬船グリーン・コーヴが回収し、那覇軍港に運んだように見えた。

 しかし、実際には、ミサイルや資材、車両などの少なくとも一部は、横浜に置かれたままになっていたのだろうか。

昨秋のパトリオット・ミサイル展開訓練終了後、那覇軍港から横浜NDにやってきた貨物船は、12月20日に入港した高速輸送艦グアムだけだ。しかし、グアムが12月に陸軍のパトリオット・ミサイルをわざわざ横浜に運び込み、3月に再び持って帰るということは、通常ではあまり考えられない。

 だとすると、やはり昨秋以来、ミサイルや資材などが横浜に置かれたままになっていた可能性が高いということではないか。もちろん、まったく別のパトリオット・ミサイルが沖縄以外のどこかから運び込まれて横浜NDに置かれていた可能性も、ゼロではないが。

 今回横浜NDで積み込まれたミサイルランチャーにミサイルは入っていたのか、ということも気になるところだ。ミサイルが入っていたとしたら、それは実弾か?模擬弾か?

 いずれにせよ米軍は、市民には何も情報を伝えないまま、ミサイルが入っている可能性すらあるミサイルランチャーなどの船積み作業を横浜港のど真ん中で行ったのだ。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


昨年10月21日、自動車運搬船グリーン・レイクから陸揚げされた、パトリオット・ミサイル部隊
の暗緑色の車両群。矢印を付けたところにミサイルランチャーが見える。(2020.10.21星野撮影)


昨年11月、厚木基地での訓練を終えて横浜ノースドックに戻ってきたパトリオット・ミサイル
部隊の車両群。矢印を付けたところにミサイルランチャーが見える。(2020.11.10星野撮影)


昨年11月18日に横浜NDに入港し、パトリオット・ミサイル部隊の車両を回収したと見られた自動車運搬船グリーン・コーヴ。(2020.11.18星野撮影)


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