横浜ノースドックから横須賀沖の補給艦に物資輸送


浦郷弾薬庫からノースドックに曳いてこられたバージ(YCV-16)に、岸壁から赤白に塗られたタンク状のものなどが積み込まれた


横須賀基地の新型タグボートに曳かれて横浜港口を出て横須賀方面に向かうバージ(2021.4.26 読者撮影)


横須賀基地沖合の錨地に停泊する貨物弾薬補給艦アメリア・アーハートに積まれた赤白のタンク(4.26 星野 撮影)

4月24日午後、横浜ノースドックに横須賀・浦郷弾薬庫に常駐の大型バージYCV-16が、横須賀基地のタグボートに曳かれて到着した。すぐに何かを積むでもなく、大型バージは ノースドックのHバースに停泊していた。

25日に米海軍貨物弾薬補給艦アメリア・アーハート(T-AKE 6)が横須賀基地港外錨地に沖縄・天願桟橋から到着、投錨した。この錨地には、昨年12月中旬から2月下旬まで、時に間 をあけながら3隻の貨物弾薬補給艦が停泊していた。2か月ぶりに現れたのが、このアメリア・アーハートだった。

貨物弾薬補給艦がこの錨地に停泊するときは、浦郷弾薬庫に常駐している大型バージが沖合の補給艦まで行って、ミサイル・弾薬類を積み込んだり、船から降ろした弾薬類をバージに積 み込んで弾薬庫に持ってくる、という動きをする。時々、艦内で出た廃棄物などをバージで弾薬庫まで運ぶこともあったから、逆に物資も船に積み込むために弾薬庫から出るバージで 運んでいることもあるだろう、と思っていた。

だから、横浜で海軍の大型バージがノースドックに接岸しているのを見、横須賀で貨物弾薬補給艦が沖合に停泊しているのを見ても、この2隻が翌日、つながる動きをするなど考えても 見なかった。

4月26日に横浜ノースドックの岸壁から、大型クレーンで梱包された物資や赤白に塗られたタンク状のものなどが海軍の大型バージに積み込まれた。
横須賀から「迎えに」来ていたタグボートに曳かれてノースドックを出た大型バージの行き先は、横須賀沖の貨物弾薬補給艦だった。
横須賀基地や浦郷弾薬庫に寄ることなく、アメリア・アーハートに直行したバージから、赤白のタンク状のものなどが補給艦の後部甲板に積み込まれた。

アメリア・アーハートは翌27日に抜錨、出港した。グアム方面に向けて太平洋を南下した後、5月5日から6日にかけて佐世保港内に現れている。
佐世保では大きな荷動きはなかったとみられ、横浜から移動した物資類は、たぶんグアムで降ろされた、とみていいのではないか。

これまで、横須賀港外錨地に停泊する補給艦などに、物資が横浜ノースドックから積み込まれたことはなかった。今回の大きな物資が近隣の米軍基地から陸上の経路で運び込まれた 可能性もないことはないが、おそらくノースドックに寄港した数多くの貨物船のうちの一隻が、中継地としてノースドックに荷を下ろしたのではないだろうか。

米軍から見れば、横浜ノースドックは距離的に近く、バージが往復可能なために、横須賀港の一部と考えていても不思議ではない。今回のノースドックからの物資の積み込みが今後も 繰り返されて、横浜ノースドックの基地の役割がさらに拡大していくこともありうる。
それは、ノースドックの返還に向けた動きとは真逆の方向に進むものだ。

(RIMPEACE編集部 頼 和太郎)


積み込みの前日、ノースドックに係留中の大型バージ。後方は救難艦サルボア


積み込み前日の25日に、横須賀基地沖合で錨泊する貨物弾薬補給艦アメリア・アーハート(4.25 頼 撮影)


2021-5-8|HOME|