米海軍大型輸送艦、横浜港の民間ふ頭に入港


写真奥の灰色の艦船が、横浜ノースドックに隣接する民間ふ頭、鈴繁埠頭に接岸した大型輸送艦フィッシャー


周囲の建物や手前の音響測定艦や米陸軍大型揚陸艇(LCU)と比べると、フィッシャーの巨大さがよく分かる(2021.7.1 星野撮影)


船体備え付けの巨大クレーンでハンビーを積み込むフィッシャー(7.1 読者撮影)

 7月1日、横浜港の民間ふ頭に米海軍大型輸送艦が入港し、軍用車両など物資の積み込み作業を行った。おそらく前代未聞のことだろう。

 入港したのは、車両輸送艦フィッシャー(T-AKR 301)だ。横浜に入港する前には岩国基地に寄港し、米陸軍の攻撃ヘリAH-64アパッチを4機陸揚げしていた。

 フィッシャーが接岸したのは、横浜ノースドックのある瑞穂埠頭の、民間ふ頭部分である鈴繁埠頭だ。横浜ノースドックに隣りあってはいるが、あくまでも民間ふ頭だ。日米合同委員会 が、日米地位協定に基づいて米軍に提供することを合意した施設ではない。

 米軍への提供施設では無い、横浜港の民間ふ頭に米軍艦船が入港し、軍用車両の積み込み作業という軍事活動を行ったのは、日米地位協定違反だろう。法手続きを無視して、提供施設の 外で勝手に軍事活動をすることは許されない。

 横浜市基地対策課は、フィッシャーの入港当日の15時になって、「米輸送艦の民間会社所有の埠頭への着岸について」というタイトルの、ごく簡単な「資料提供」を公表した。それに は、『本日、防衛省南関東防衛局から本市に対し、「横浜市神奈川区にある民間会社所有の埠頭(瑞穂ふ頭/横浜ノース・ドックに隣接)に物資の搭載のため、米輸送艦が着岸した」との連絡 がありました』としか書かれていない。

 しかし、港湾法上の手続きから言って、遅くとも入港前日には、港湾管理者である横浜市は米海軍大型輸送艦の入港を知りうる立場にあったのではないか。横浜ノースドックの全面返還 を求める横浜市は、民間ふ頭までも軍事利用しようという事前の情報に対し、どのような対応をしたのだろうか。

 なお、1998年7月、強襲揚陸艦ベローウッドの、ノースドック以外の横浜港のふ頭への入港を打診された当時の高秀横浜市長は、ふ頭に空きが無いことを理由にそれを断ったという。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


横浜市が7月1日15時付けで公表した、フィッシャー入港に関する「資料提供」



2021-7-2|HOME|