米海軍輸送艦、横浜の民間ふ頭で上陸作戦装備を降ろす


8月20日、横浜港の民間ふ頭、鈴繁埠頭に接岸した米海軍輸送艦フィッシャー(2021.8.20星野撮影)


輸送艦フィッシャーの甲板上にWTやMCSが積まれ、車両などが並んでいるのが見える。(8.20読者撮影)


クレーンで海面に降ろされるWT。先に降ろされたWTには米軍兵士が乗っているのが見える。(8.20読者撮影)


クレーンを使って海上に降ろされるMCS。(8.20星野撮影)

7月から8月初旬にかけてマリアナ諸島で行われた米陸軍の演習「フォレジャー21」(Forager 21)で使用した上陸用作戦セットなどを積んで、8月16日の夜に横須賀沖に戻ってきていた米軍輸送艦フィッシャー(T-AKR 301)は、8月20日の朝、横浜港に入港し、民間ふ頭である鈴繁埠頭に接岸した。

フィッシャーの接岸後、同艦に搭載されている2つの大型クレーンを使って、甲板上に積まれていたWT(Warping Tug:組み立て式のタグボート)やMCS(Modular Causeway System:組み立て式の筏、ふ頭)を海上に降ろす作業が行われた。

海上に降ろされたWTには、迷彩服姿の米軍兵士が乗り込んで操縦し、MCSを、主に瑞穂埠頭と陸地の間の水路を通って、コットンハーバー地区に面した横浜ノースドック内のV字型の切れ込み部分に曳航して係留する作業が続けられた。
作業にあたった兵士たちは、おそらく第7輸送旅団所属の兵士だろう。

ちなみに、米軍兵士がWTに乗り込んだのは米軍基地ではない場所であり、MCSの曳航に使われた水路も、米軍への提供水域外の水域だ。
MCSの曳航作業には、米兵の操船するWTだけでなく、日本の民間労働者が操船する民間小型船も加わった。

横浜港内の米軍基地ではない民間ふ頭と、米軍への提供水域ではない水域を、米軍は7月の演習出発時に引き続き軍事目的で使用したということだ。

直接大砲を撃ったり、ミサイルを発射したりすることだけが軍事活動ではない。輸送は軍事活動のきわめて重要な構成要素だ。

横浜市も神奈川県も、横浜港内の基地の外での米軍の軍事活動を黙認し続けるつもりなのだろうか。

民間ふ頭に接岸した米海軍輸送艦には、武器や爆発物や化学物質など、危険物は積まれていなかったのか。兵士や上陸用舟艇セットなどの装備の検疫はどうなっているのか。港湾管理者である横浜市はこれらについて主体的に検査、調査を行ったのだろうか。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


WTや民間小型船を使って、MCSを鈴繁埠頭からノースドックに曳航する作業が続けられた。WTは米軍兵士が操船し、
小型船は民間労働者が操船している。曳航している水路は、米軍への提供水域ではない。


ノースドックのV字型の切れ込み部分に係留されたMCSやWT。


MCSを曳航する民間小型船と民間労働者。曳航には、瑞穂埠頭の先端側を経由するルートも使われた。(8.20星野撮影)


2021-8-28|HOME|