因島の民間ドックで音響測定艦の整備続く


2月11日、JMU因島事業所に向けて横浜ノースドックを出港する前日の音響測定艦ビクトリアス。(22.2.11 星野 撮影)

 2月12日に横浜ノースドックを出港した音響測定艦ビクトリアス(T-AGOS 19)が、2月15日、広島県尾道市にあるJMU因島事業所の岸壁に接岸した。この民間ドックで整備工事をするのだろう。
 同じJMU因島事業所では、昨年9月20日から12月8日まで音響測定艦ロイヤル(T-AGOS 22)もドック入りしていた。
 米軍はJMU因島を音響測定艦の整備工場として使用するようになった、ということだろう。


2021年9月15日、JMU因島事業所に向けて横浜ノースドックを出港する前日の音響測定艦ロイヤル。(21.9.15 星野 撮影)

2021年12月11日、因島から横浜に戻ってきた翌日の音響測定艦ロイヤル。船体が塗り直されているのが分かる。(21.12.11 読者撮影)


2021年12月10日の夜の横浜ノースドック。右から、この日因島から横浜に戻ってきた音響測定艦ロイヤル、
弾道ミサイル観測船ハワード・O・ロレンゼン、音響測定艦インペッカブル、音響測定艦エフェクティブが並んだ。(21.12.10 星野 撮影)

 ところで2007年に米軍は、音響測定艦エフェクティブ(T-AGOS 21)が横須賀基地内でドック入りをしている写真を画像サイトDVIDSで公開している。
 確かに横須賀基地内のドックは、基地があること自体の是非は別とすると、日米地位協定第2条にもとづいて日米両政府が米軍の使用を許しているという位置づけの区域であり施設である。つまり、2007年の時点では、米軍の軍艦である音響測定艦が日本でドック入りをする場合には、地位協定第2条にもとづいて使用を許されていることになっている施設を使っていたということだ。
 他方、JMU因島事業所は、日米地位協定第2条にもとづいて米軍に提供された区域や施設では無いはずだ。もちろん、音響測定艦の民間ドック使用は、地位協定第5条のいわゆる「基地間移動」や「基地への出入り」のための港湾への接岸でもない。つまり、日本にいる米軍を規律する法である日米地位協定は、米軍によるこの民間ドックの使用を認めていないのだ。
 地位協定によって使用を許されていない施設を、どうして外国軍である米海軍の軍艦が使用しているのだろうか。


2007年9月、横須賀基地内のドックに入渠中の音響測定艦エフェクティブ。米軍が画像サイトDVIDSに掲載した2007年9月13日付けの記事(https://www.dvidshub.net/image/60084/usns-effective-drydock)より引用。


(RIMPEACE編集部 星野 潔)


2022-2-24|HOME|