横浜NDのCV22飛来と離陸、防衛省への質問と「回答」


6月2日、横浜港に飛来したCV22(22.6.2 星野 撮影)

6月9日、横浜ノースドックを離陸し、横浜港上空を転換モードで飛行するCV22(22.6.9 星野 撮影)

6月2日にCV22オスプレイが横浜ノースドックに飛来し、6月9日に横浜ノースドックからオスプレイが飛び立って横田基地に向かった件について、福島みずほ参議院議員が防衛省に対し資料請求の形で質問を行った。それに対する防衛省の「回答」が6月20日に返ってきた。
質問の項目と防衛省の「回答」はそれぞれ以下の通りだ。

防衛省への質問項目(2022年6月15日に福島みずほ参議院議員が防衛省に資料請求として提出した文書から引用)


防衛省の「回答」の一覧




 防衛省は、オスプレイが横浜ノースドックに離着陸することが許される法的根拠を問われても、あるいは地位協定によれば横浜ノースドックについて結ばれているはずの「個個の施設及び区域に関する協定」で航空機の離着陸が認められているのかを問われても、「米軍は、日米安保条約の規定に基づいて、我が国の施設・区域を使用することが認められており、同条約上の目的達成のため、訓練等の軍隊としての機能に属する諸活動を一般的に行うことを当然の前提としています」と答えるだけだ。

 確かに日米安保条約では、具体的にはその第6条において、「アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することが許される」と規定されている。
 しかし、米軍のうち陸軍と空軍と海軍が、日本の「施設及び区域を使用することが許される」と書いてあるからと言って、「米軍は、「訓練等の軍隊としての機能に属する諸活動を一般的に行う」ためならば、日本の法律を無視することが許される」とはどこにも書かれていない。
 「同条約上の目的達成のため、訓練等の軍隊としての機能に属する諸活動を一般的に行うこと」を認めるなどという記述も、日米安保条約にはどこにも書かれていない。日米安保条約が米軍に許しているのは、日本の「施設及び区域を使用すること」だけである。
 安保条約のどこをどう読んでも、少なくとも「平時」において、基地の外の横浜港上空を、オスプレイが低空で転換モードで飛行することが許されるという結論を得ることはできない。

 日米安保条約の第6条には、前述の文言に続いて「前記の施設及び区域の使用並びに日本国における合衆国軍隊の地位は、1952年2月28日に東京で署名された日本国と合衆国との間の安全保障条約第3条に基く行政協定(改正を含む。)に代わる別個の協定及び合意される他の取極により規律される」とある。
 つまり、米軍の具体的な行動については、安保条約以外の協定その他によって規律されなければならないのだ。
 そして日米地位協定は、第16条で米軍構成員に対して「日本法令の尊重義務」を課している。したがって、日本の施設及び区域を使用する米軍は、日本の法律を守らなければならないのだ。
 他方、米軍は「施設及び区域」以外の場所でも訓練等の軍隊としての機能に属する諸活動を一般的に行う」ことが許される、という規定はどこにも存在しない。すなわち、使用を許された「施設及び区域」以外では、そうした諸活動を一般的に行うことは法的に認められていない、ということなのだ。
 また、確かに、例えば航空法の一部の規定を米軍には適用除外とする航空特例法が存在しているが、他方で日本政府は、国会で「米軍は航空法の規定を尊重している」ことを繰り返し答弁し、そのことを、米軍機の飛行の「安全性」を主張する根拠としている。であるのならば、日本政府は、日本列島に暮らす人びとの安全のために、適用除外の規定も含めて、米軍に日本の航空法の規定を守らせなければならない。

 ところで、「防衛省としてその詳細は承知しておりません」と述べているにもかかわらず、空港やヘリポートでもなく、飛行管制施設のない横浜ノースドックにオスプレイを着陸させ、離陸させた今回の行為が「訓練等の軍隊としての機能に属する諸活動を一般的に行う」行為であると、防衛省はどうして言えるのだろうか。まったくもってデタラメではないか。
 同様に、「日米地位協定において、米側は施設・区域における運用は公共の安全に妥当な考慮を払って行わなければならない旨規定されており、横浜ノース・ドックの使用に際しても、米側は、この規定に基づき、適切に運用しているものと認識しています」とあるが、「日米地位協定において、米側は施設・区域における運用は公共の安全に妥当な考慮を払って行わなければならない旨規定されて」いることが、なぜ、米軍の横浜ノースドックの現実の使用が、「適切に運用」されていると「認識」できる根拠になるのか。
 「米軍は公共の安全に妥当な考慮を払え」という規定があることが、米軍がその規定を守っていると認識できる根拠だ、という主張なのだ。現場を確認もせずに、なんでそんなことが言えるのか?あまりにもデタラメはないか。
 基地の外の港湾の上空をオスプレイが転換モードで低空飛行する行為のどこが、「公共の安全に妥当な考慮」を払った行為だと言えるのか?
 「公共の安全に妥当な考慮」を払わなかったがゆえの、さまざまな事件や事故を米軍は現実に起こしているではないか。
 防衛省の官僚そして日本政府が、そうした現実を見ようとしない態度をとり続けていることが、日本列島に暮らす人びとの安全を現実に脅かす深刻な脅威となっている。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


2022-6-21|HOME|