横浜ノースドックに陸自地対艦ミサイル部隊(2)
―熊本のミサイル部隊がなぜ横浜に?―



車両のバンパー部分に「5地対艦」と書かれているのが見える

建物の陰に隠すように並べられている、ミサイルキャニスターや発射装置を積んだ車両

横浜ノースドックに並ぶ、第5地対艦ミサイル連隊の車両


横浜ノースドックに6月14日頃から並べられた、陸上自衛隊の12式地対艦誘導弾の発射システム車両群の所属部隊は、いったいどこなのだろうか?
よく見てみると、並べられた陸自車両の車体前方に、「5地対艦」の文字が見える。「5地対艦」とは「第5地対艦ミサイル連隊」の略称だ。つまり、熊本の建軍駐屯地に駐屯する第5地対艦ミサイル連隊の車両が、横浜ノースドックに集まっているということだ。

ではなぜ、熊本のミサイル部隊が横浜に来ているのだろうか?
今年4月14日の陸自幕僚監部の発表によれば、2022年6月に実施される「環太平洋合同演習(リムパック(RIMPAC))」には陸自の西部方面隊が参加するという。
熊本の第5地対艦ミサイル連隊は、まさに西部方面隊に所属する部隊だ。
ということは、今回、横浜ノースドックにやって来た陸自第5地対艦ミサイル連隊は、リムパックに参加するのだろうか。
それとも、別の何らかの軍事演習などに参加するのだろうか。

もしも仮に第5地対艦ミサイル連隊がリムパックに参加するのだとしたら、なぜ、熊本に駐屯する部隊がわざわざ横浜までやって来て、おそらく海路、リムパックの「会場」まで出かけていこうというのだろうか?
リムパック参加の是非は別として、熊本から横浜まで来なくても、自衛隊が使用している港はいくつもある。それでもわざわざ横浜の米軍基地まで出てきて、横浜から演習の「会場」まで出かけようというのはなぜなのか。リムパック、あるいはどこか別の場所に演習に行くために、熊本から横浜にミサイル部隊を運んでくるのは税金の無駄遣いであり、二酸化炭素の無駄な排出というべきではないか。
それとも、横浜ノースドックへの移動も、実質的に米軍の盾となって戦闘を行うために、米軍基地から送り出されるための訓練の一環だというのだろうか。しかし、もしもそうした目的があるのならば、それは、住民や自衛隊員の生命を脅かす可能性のある、きわめて重大な問題だ。

また、確かに横浜ノースドックは米陸軍の「港」ではあるのだが、自衛隊が港として使用することは、ノースドックを米軍に提供する使用目的には含まれていないはずだ。
つまり、米軍に提供された基地である横浜ノースドックの使用の形態として、今回のような陸上自衛隊の使用の仕方は許されないはずだ。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)(22.6.19 星野 撮影)


2022-6-20|HOME|