横浜ノースドックに陸自地対艦ミサイル部隊(3)
―陸自、米軍基地内の「共同使用」区域以外の場所を勝手に使用か?―


横浜ノースドックの埠頭先端部に並ぶ陸自第5地対艦ミサイル連隊の車両(22.6.15 星野 撮影)

横浜ノースドックに並べられた陸自ミサイル部隊の車両。しかし、この場所は「共同使用」区域には指定されていない(22.6.19 星野 撮影)

横浜ノースドックの中で日米合同委員会の合意で陸自の使用が認められている「共同使用」区域は、青と赤の丸で囲んだ2つの建物だけのはずだ(21.11.26 星野 撮影)


今回、陸上自衛隊の12式地対艦誘導弾の発射システムが並べられた場所は、日米地位協定第2条4-aのいわゆる「共同使用」区域には該当しない場所だ。
最近の日米合同委員会で、陸自の12式地対艦誘導弾を横浜ノースドックから運び出すまでの待機期間中だけ「共同使用」することを合意したという発表もなされていない。

防衛省HPの「お知らせ」を見ていると、しばしば日米共同訓練などで一時的に米軍基地の一部を自衛隊が使用する場合でも、わざわざ日米合同委員会の合意という手続きを行ったことが報告されることがある。
そうした一時的な使用と同様に、今回、陸上自衛隊は、米軍基地である横浜ノースドックの中の「日米共同使用区域」以外の場所に、ミサイル部隊の車両を運び込んだのだが、それを行うのであれば当然、事前に、日米合同委員会で日米地位協定第2条4-aにもとづく合意を行い、それを事前に公表すべきだったのではないか。いや、日米合同委員会の合意以前に、地元自治体や市民に相談すべきだったのではないか。
しかし、防衛省のプレスリリースを見ても、そもそも日米合同委員会でそのような合意がなされたことは書かれていないようだ。
今回運び込まれたのは対艦ミサイル部隊だ。とりわけ危険性の高い兵器を持った部隊だ。地元自治体や市民に事前に何も相談もせず、何も知らせずに運び込むのは、間違っている。
何しろ市民の見えるところに12式地対艦誘導弾の発射システムを構成する車両を何台も並べて見せつけているのだから、今回の陸自による横浜ノースドックの使用は、秘密でもなんでも無いはずだ。
にもかかわらず、今回の陸自による米軍基地の使用について、なぜ日米合同委員会の合意を行ったことが発表されないのだろうか。
もしかしたら、日米合同委員会の合意手続きも無いままに、米軍に提供された施設を陸自が勝手に使用しているということなのだろうか。
現場の部隊が暴走しているのだろうか。自衛隊幹部はこの暴走を容認しているのだろうか。
仮に今回の行為が自衛隊幹部や米軍の承認のもとで行われているとするならば、自衛隊も米軍も、日米地位協定に規定された手続きを守っていないということではないか。

なお、今年の5月にも、陸上自衛隊のホークミサイル部隊が横浜ノースドックに現れて、共同使用区域以外の場所を使用した。
このホークミサイル部隊の横浜ノースドック出現については、また別の記事で紹介したい。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


2022-6-20|HOME|