陸自地対艦ミサイル連隊、リムパックから横浜に戻る


8月24日、横浜ノースドックに接岸した貨物船SLNCヨーク。船体後部のランプから陸自の12式地対艦誘導弾の部隊を陸揚げした(22.8.24 星野 撮影)


陸揚げされた地対艦ミサイル発射システムの車両は、8月24日の時点では矢印で示した建物の陰に隠すように並べられた(22.8.24 星野 撮影)

ハワイ周辺で行われたリムパック2022に参加していた陸上自衛隊の第5地対艦ミサイル連隊が、8月24日、横浜ノースドックに戻ってきた。

8月24日、陸自第5地対艦ミサイル連隊の12式地対艦誘導弾発射システムの車両群を載せて横浜ノースドックに接岸したのは、米国船籍の貨物船SLNCヨーク(SLNC YORK)だ。
SLNCヨークは、6月にも横浜ノースドックと那覇軍港に入港して、横浜でCV22オスプレイ3機を積み込むとともに同型機を2機陸揚げし、那覇ではMV22オスプレイ3機を積み込んだ民間貨物船だ。
今回は、現地時間の8月2日から3日にかけてと8月6日の2回、ハワイのカウアイ島ナウィリウィリ港に寄港し、8月10日にはホノルルにも寄港した後、横浜ノースドックにやって来た。
カウアイ島は、リムパック2022で陸自第5地対艦ミサイル連隊が12式地対艦誘導弾を発射した、太平洋ミサイル試射場(PMRF:Pacific Missile Range Facility)がある島だ。

8月24日の朝に横浜ノースドックに接岸したSLNCヨークは、船体に備え付けられた大型クレーンは使わずに、船体後部のランプを開いて、そこから12式地対艦誘導弾発射システムの車両を陸揚げした。
陸揚げされたミサイル発射装置を含む車両群は、横浜陸揚げ当日の8月24日には建物の影に隠すように並べられた。市民の目にできるだけ触れないようにする意図があったのかもしれない。
翌25日の昼頃には、陸自の車両群は横浜ノースドック内で陸自が共同使用している建物の周囲に移動して、駐屯地に帰るための準備作業を行っていた。



8月25日の昼頃、横浜ノースドック内で陸自が共同使用している建物の周りに並んだ陸自12式地対艦誘導弾発射システムの車両群(22.8.25 星野 撮影)


移動する、12式地対艦誘導弾発射装置の車両(22.8.25 星野 撮影)



ミサイル発射装置の車両の後ろには、ミサイルキャニスターを積んだ弾薬運搬車が続いた(22.8.25 星野 撮影)

リムパック2020に参加して、カウアイ島で12式地対艦誘導弾をぶっ放してきた第5地対艦ミサイル連隊は、熊本に駐屯する部隊だ。
熊本の部隊が、ハワイで行われるリムパック演習に参加するにあたって、わざわざ横浜の米軍基地にやって来て出発し、帰りもまた、横浜の米軍基地に戻ってきた、ということだ。
このような振る舞いを陸自は何故、敢えて行ったのだろうか。誰がそのようなことを求めたのだろうか。
今回の一連の陸自の振る舞いは、米軍が、自分たちの身代わりあるいは盾として、自衛隊に戦わせる構想の存在を象徴してはいないだろうか。

以前も指摘したことだが、確かに横浜ノースドックは米陸軍の「港」ではあるが、ノースドックを米軍に提供する使用目的には、自衛隊が港として使用することは含まれていないはずだ。今回のような陸自の使用形態は許されないはずだ。

また、第5地対艦ミサイル連隊は、横浜ノースドックからハワイに行ってミサイルを発射して、横浜に戻ってきたのだが、横浜ノースドックに地対艦ミサイルやその弾薬を運び込まなかっただろうか。横浜市や神奈川県は、陸自がミサイル本体や弾薬を横浜港のど真ん中に運び込んだりしなかったか、確認したのだろうか。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


7月18日、カウアイ島の太平洋ミサイル試射場(PMRF)でミサイルの発射準備をする陸自12式地対艦誘導弾発射装置。米軍画像サイトDVIDSより引用
(https://www.dvidshub.net/image/7331879/us-army-and-japan-ground-self-defense-force-prepare-sinkex-during-rimpac-2022)


7月22日、PMRFで発射された陸自の12式地対艦誘導弾。米軍画像サイトDVIDSより引用
(https://www.dvidshub.net/image/7336642/pacific-missile-range-facility-pmrf-rimpac-2022-sinkex)


2022-8-28|HOME|