壊れた戦闘攻撃機、横浜から搬出か


9月9日、横浜ノースドックにこの日の朝入港した貨物船SLNCヨークに、FA18戦闘攻撃機が積み込まれた直後とみられる光景(22.9.9 星野 撮影)


SLNCヨークの船倉の蓋が開かれており、接舷したバージからFA18をクレーンで吊り上げて搬入したものとみられる(22.9.9 星野 撮影)


8月19日に横須賀基地に戻ってきた原子力空母ロナルド・レーガン(RONALD REAGAN CVN 76)の飛行甲板上には、水平尾翼が壊れているとみられるFA18戦闘攻撃機が1機載せられていた。モデックスナンバー304。VFA−115所属の機体だ。
このFA18は、9月7日に飛行甲板から姿を消した。12号バースの埠頭上に降ろされた模様だ。
そして9月9日の午前中、バージYCV−16が、タグボートYT−806に押されて横浜ノースドックに向かい、この日の朝横浜ノースドックに入港したばかりの貨物船SLNCヨークの左舷に接舷した。
バージに載せられていたのは壊れたFA18だったようだ。そして、ヨークに搭載されている大型クレーンで船倉に搬入された模様だ。

ここ数年繰り返された事例であれば、原子力空母艦載の壊れたFA18戦闘攻撃機は、横浜ノースドックに運ばれたあと、防湿カバーでグルグル巻きにされた白装束を数ヶ月間曝した後で、貨物船に積み込まれて米本土に運ばれていた。
今回、海上でバージから直接貨物船に積み込むという、難易度の高いやり方をとった理由を推測すると、米軍としては、壊れた戦闘攻撃機の惨めな姿を長期間にわたって人目に曝したり、写真に撮られたりすることをできる限り避けたかったということなのかもしれない。

しかし、とりあえず人目に付かないようにうわべを取り繕ってみたところで、戦闘攻撃機が壊れたということには変わりはないだろう。日本の上空を飛行する戦闘攻撃機なのだから、最低限、壊れたということ、そしてそれがなぜ壊れたのか、どのような安全対策を取ったのかを、日本列島に暮らす人びとに説明する必要がある。


バージはYCV-16、タグボートはYT-806(22.9.9 星野 撮影)


バージYCV-16は、普段は横須賀基地の浦郷弾薬庫に係留されている。浦郷弾薬庫から弾薬を載せて錨地にいる米軍艦に運ぶ際に使われる(22.9.11 星野 撮影)


タグボートYT-806は、横須賀基地で使われている米海軍タグボート。写真は9月12日、出港する原子力空母ロナルド・レーガンに付き添って沖に向かうYT-806(22.9.12 星野 撮影)

FA18を積み込んだ貨物船SLNCヨークは、翌9月10日に横浜ノースドックを出港して、岩国基地に向かった
。 横浜ノースドックでは、FA18のほかに、9月6日頃にノースドックに運び込まれていた軍用車両や資材の一部を積み込んだ模様だ。

このSLNCヨークは、民間の貨物船ではあるが、ここ数ヶ月の間に、オスプレイを横浜や那覇から搬出したり、横浜にCV22オスプレイを陸揚げしたり、陸上自衛隊地対艦ミサイル連隊のミサイル発射装置などの車両をハワイから横浜に運んだりと、まさに軍事的に使用されている。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


9月6日に横浜ノースドックに運び込まれた車両や資材。
これらのうち赤丸の部分の車両や資材は、9月10日のSLNCヨークの出港後には消えており、SLNCヨークに積まれた可能性が高い(22.9.6 星野 撮影)


2022-9-13|HOME|