民間タグボート、米本国から横浜NDにLCUを搬入


11月16日の午前10時43分頃、横浜港に入港するタグボート、パシフィック・ファルコン(22.11.16 星野 撮影)

パシフィック・ファルコンはLCUパロ・アルトを引っ張って横浜にやって来た(22.11.16 星野 撮影)

LCUパロ・アルトとともに横浜ノースドックの埠頭先端部に停泊するパシフィック・ファルコン(22.11.17 星野 撮影)

11月18日、LCUパロ・アルトの停泊位置を移動させたパシフィック・ファルコン(22.11.18 読者 撮影)

移動したLCUパロ・アルト(22.11.19 星野 撮影)

11月16日午前11時頃、タグボート「パシフィック・ファルコン」(PACIFIC FALCON)が、LCU(陸軍大型揚陸艇)のパロ・アルト(PALO ALTO LCU 2032)を牽引して横浜ノースドックに入港した。

パシフィック・ファルコンは、オリンピックタグアンドバージ社がオーナーの、サンフランシスコを母港とする民間タグボートだ。
米国のオークランドを現地時間の10月12日に出港し、その後ハワイのホノルルに現地時間の10月24日に立ち寄り、翌日に出港して横浜にやって来た。
このタグボートが連れてきたLCUパロ・アルトは、今年8月5日頃にはオークランドにいたというAIS(船舶自動識別装置)の情報がある。したがって、はるばるオークランドからパシフィック・ファルコンが太平洋を渡って牽引してきた可能性が高い。

11月16日に横浜ノースドックの埠頭先端部に接岸したパシフィック・ファルコンは、11月18日にLCUパロ・アルトの停泊場所を動かし、代わりに、みなとみらい地区から見て反対側にあるLCUの「溜まり場」からLCUモリノ・デル・レイ(MOLINO DEL RAY LCU 2029)を引っ張り出してきた。
そして11月24日の朝、パシフィック・ファルコンはLCUモリノ・デル・レイを牽引して横浜を出港した。
AIS(船舶自動識別装置)の情報によると目的地はホノルルと入力されている。
つまり、LCUパロ・アルトをアメリカから横浜に運んで来たパシフィック・ファルコンが、その帰りにLCUモリノ・デル・レイを米国に運んでいったということのようだ。

モリノ・デル・レイは、2020年11月にはるばるクウェートから重量物運搬船によって運ばれてきた2隻のLCUのうちの1隻だ。クウェートからわざわざ横浜に運んで来たLCUを、今度はなぜアメリカに運んでいくのか、理由は不明だ。
LCUパロ・アルトを、モリノ・デル・レイの代わりに横浜に配備するために運んで来たということなのかどうかも、今のところ不明だ。

この11月、船舶ブローカーの「ホライゾン シップ ブローカー」のHPに、日本国内にあるLCUを110万ドルで販売する情報が掲載されていることが判明し、一部で話題になっている。
同HPに掲載されているLCUの写真を見ると、売りに出されたのが、米陸軍が横浜に保管しているLCUと同じタイプのLCUであることが分かる。
つまり、販売されているのは、まさに横浜に保管されているLCUだということなのだ。

今回のパシフィック・ファルコンによるLCUモリノ・デル・レイの搬出、あるいはパロ・アルトの横浜ND搬入が、このLCU販売情報と何か関係があるのかどうかについても、今のところ全く不明だ。


LCUモリノ・デル・レイを「溜まり場」から引っ張り出してきたパシフィック・ファルコン(22.11.19 星野 撮影)

パシフィック・ファルコンはモリノ・デル・レイを、LCUフォート・マクヘンリーの横に接舷させた(22.11.21 星野 撮影)

出港を翌日に控えたパシフィック・ファルコンとモリノ・デル・レイ(22.11.24 星野 撮影)

11月25日の午前10時40分頃、東京湾を南下するパシフィック・ファルコンとモリノ・デル・レイ(赤丸の中)(22.11.25 星野 撮影)

ところで、はるばる米国からやって来たタグボートによる、横浜ノースドックに「保管」されている資材の搬出は、今回が初めてではない。

そもそも、横浜ノースドックに「保管」されているLCUは、米陸軍事前配備(APS: Army Prepositioned Stocks)として配備されている揚陸作戦用の資材だ。
横浜に配備されていた揚陸作戦資材の中には、クレーンバージも一基あった。
しかし、長年係留されていたこのクレーンバージは、今年7月25日に姿を消した。
今年7月23日に、シアトルを母港とするタグボート、デニス・フォス(DENISE FOSS)が横浜ノースドックに入港し、同月25日に出港した。
デニス・フォスの出港と同時に、クレーンバージは横浜ノースドックから姿を消した。つまり、デニス・フォスがクレーンバージを横浜から搬出したとみられる。
デニス・フォスは、シアトルを母港とするタグボートだ。

横浜ノースドックでは今年に入ってから、こうしたタグボートによる搬出以外の方法での、APS資材の搬出も行われている。
どうやらAPSの資材の再編が進められているようだ。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


今年7月25日まで横浜ノースドックに係留されていたクレーンバージ(22.7.23 星野 撮影)

7月23日、横浜ノースドックに入港したタグボート、デニス・フォス(22.7.23 星野 撮影)

7月25日、出港数時間前のデニス・フォス。クレーンバージを牽引して出港する準備中とみられる(22.7.25 星野 撮影)


2022-11-27|HOME|