陸軍揚陸艇、横浜港内で操船訓練



1月26日、横浜港内で操船訓練を行う2隻の米陸軍揚陸艇。上がフォート・マクヘンリー、下がカラボザ



岸壁沿いに操船訓練を行うフォート・マクヘンリー(LCU 2020)。乗船しているのは米軍兵士だ。マストにはえんじ色の米陸軍輸送科の旗が掲げられている



岸壁から遥かに離れて操船訓練を行うカラボザ(LCU 2009)。こちらも米軍兵士が乗船していて、マストにえんじ色の米陸軍輸送科の旗が掲げられている


訓練を行うカラボザの横をシーバスが通り過ぎる。カラボザが訓練を行っている場所は、米軍の「施設及び区域」ではない

1月26日、横浜港内で米陸軍兵士たちが2隻の米陸軍揚陸艇で操船訓練を行った。

操船訓練を行ったのは、カラボザ(CALABOZA LCU 2009)とフォート・マクヘンリー(FORT McHENRY LCU 2020)の2隻だ。いずれもLCU(Landing Craft Utility)2000級あるいはラニーミード級とも言われる米陸軍揚陸艇だ。

1月11日に行われた日米2プラス2で横浜ノースドックに13隻と280名の部隊を「新編」するという合意がなされたと日本政府は1月12日に発表したが、その13隻の揚陸艇とは、まさにこのLCU2000級の揚陸艇だ。
この「合意」の内容やLCUが横浜ノースドックに「保管」された経緯などについては改めて別に論じる予定だが、防衛省と外務省の発表では「小型揚陸艇部隊」を「本年春頃」横浜ノースドックに「新編予定」だという。

ところで、1月26日に横浜港のど真ん中で訓練を行った2隻の揚陸艇を操船していたのは、いずれも米軍兵士たちだった。
12月11日に運用で派遣されていた沖縄から帰港したカラボザも、もう1隻のフォート・マクヘンリーも、いずれも12月からえんじ色の米陸軍輸送科の旗をマストに掲げていた。米陸軍輸送科が現に運行しているという印だろう。
そして実際に、今回、米陸軍兵士たちが乗り込んで横浜港内で訓練を実施したことが確認された。
ということは、「本年春頃」に横浜ノースドックに「新編」すると発表された「小型揚陸艇部隊」の少なくとも一部は、「春」を待たずに既に横浜で活動しているということなのではないか。
それとも、現在横浜に滞在している米陸軍輸送科の部隊に代わって、春には別の部隊がやって来るということなのだろうか。
いずれにしても、横浜ノースドックに現在、米陸軍輸送科部隊が滞在して活動しているのは確かだ。


揚陸艇カラボザと横浜ノースドックの埠頭の間を、横浜市港湾局のボートがすり抜けていく。ノースドックに停泊しているのは、米海軍音響測定艦だ

ボートは、横浜市港湾局の港務艇「ひばり」だ

ところで、1月26日のLCUの操船訓練中、横浜市港湾局の港務艇「ひばり」が横浜ノースドックの横を通過した。港内の巡回を行っていたのだろう。
その時カラボザは、ノースドックの岸壁から30メートルの距離を遥かに離れて訓練を行っていた。この場所は日米地位協定にもとづく訓練海域ではない。横浜港内での法的根拠のない勝手な訓練だ。

しかし、港湾管理者たる横浜市港湾局の港務艇は、カラボザの訓練を制止するもことなく、遠慮がちに横を通り過ぎるだけだった。
カラボザはその後、我が物顔でみなとみらい地区の臨港パークの手前や、大黒埠頭側の大東タンクターミナルの近くにまで出かけて操船訓練を行った。
横浜市港湾局は、法的根拠のない横浜港内での米軍の訓練は止めるべきでは無いのか。

揚陸艇部隊を運用する横浜に常駐させるという米軍は、今後、横浜港のど真ん中で、このような訓練を日常的に行うつもりなのかもしれない。横浜市はそれを容認するのかどうかが問われている。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)(23.1.26 星野 撮影)


横浜ノースドックには、1月26日の時点で10隻のLCUが「保管」されている


2022-1-27|HOME|