陸軍揚陸艇、横浜から沖縄そしてフィリピンへ


2月1日、横浜港を出港し、浦賀水道を南下する陸軍揚陸艇フォート・マクヘンリー。甲板上にコンテナなどが置かれているのが辛うじて見えた(23.2.1 星野 撮影)


1月31日のフォート・マクヘンリー。軍用タンクローリーが前日に引き続いて甲板に載せられていた


1月31日、フォート・マクヘンリーの近くに置かれていたコンテナや車両。翌日にはこれらも積み込んで出港したとみられる(23.1.31 星野 撮影)

2月1日の昼過ぎ、横浜ノースドックに「燃料を抜いて保管」されていたはずの陸軍揚陸艇フォート・マクヘンリー(FORT MCHENRY LCU 2020)が横浜ノースドックを出港した。
この船は、1月30日には軍用タンクローリーを積んで横浜港内で操船訓練を行っていたが、2月1日には甲板にコンテナなども新たに積み込んでの出港だったようだ。

フォート・マクヘンリーは横浜出港後、時間をかけて東京湾を南下して太平洋に出たが、その後も非常にゆっくりと日本列島の沿岸を舐めるようたどりながら南西に進み、2月6日に那覇軍港に到着した。おそらくこの那覇軍港への航海自体が、一つの訓練だったのだろう。

那覇軍港滞在中の2月10日には、短時間、那覇の沖合いまで往復する訓練航行も行ったようだ。その後、14日にホワイトビーチに行き、15日に那覇軍港に一旦戻った後、16日にフィリピンのスービックに向けて出港した。

そしてスービックには2月21日の朝に到着した。

運航はしない、燃料を抜いて保管する、運用する部隊は置かないという約束で横浜に搬入されたLCUだが、実際には近年ほぼ常時1〜2隻が、このように沖縄を拠点に東アジアや東南アジアを結ぶ小型輸送艦として運用されてきた。横浜市もおそらく運用されていることを知りながら黙認し続けてきた。

ついには今年1月11日、搬入時の約束をまるで記憶していないかのように、日米両政府は2プラス2で横浜ノースドックへの揚陸艇部隊の配備を合意した。
搬入時の約束との整合性について、何も説明はなされていない。
端から守るつもりなどなかった「口約束」なのだろうか。
そしてなぜか横浜市も、約束違反自体について日本政府に正面から問うことを今のところしてはいない。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


2022-2-22|HOME|