横浜NDの揚陸作戦資材の動き (2)

横浜港内でWTの航行・操船訓練行われる


4月中旬まで、横浜ノースドックの埠頭中央部の波打ち際で、5隻のWTの組み立て・艤装作業が行われていた
手前の海上に浮かんでいるバージは、音響測定艦のソナーを巻き取るためのもの(23.4.11 星野 撮影)


4月17日、組み立てと艤装が終わった5隻のWTを民間クレーンバージで海上に降ろす作業が行われた




海上に降ろされたWTは、タグボートにつながれて、陸地に近い側にあるV字型の切れ込み部分に運ばれた。
写真には、既にV字型の切れ込み部分に係留されているWTも写っている



よく見ると、WTの係留作業を視察し、その足で艦橋の上のアンテナの改修工事を行っているLCU(陸軍揚陸艇)パロ・アルトを視察する
そこそこ地位の高そうな軍人の姿も見えた(赤丸部分)。4月16日に編成された揚陸艇部隊と関係がある軍人かもしれない(23.4.17 星野 撮影)


4月19日、接岸されていた岸壁を離れ、繰り出していくWT


離岸直後になぜか、3隻のWTが連結してしばらく停止する一幕もあった


横浜ノースドックとみなとみらい地区、ハンマーヘットの間をランダムに動きまわるWT。もちろん「制限水域」を遥かに超えている





それぞれのWTには、迷彩服姿の米兵が乗っていて、加えて軍属と思われる人びとも乗っている艇も複数あった。
これらの兵士たちは「何者」なのだろうか。「新編」されたという揚陸艇部隊とは関係ないのか


みなとみらい地区の「ぷかり桟橋」に接近するWT。この辺りの水域は米軍の訓練施設には指定されていないはずだ


係留されていた場所に引き揚げていくWT(23.4.19 星野 撮影)

横浜ノースドックに備蓄されている揚陸作戦資材の中にWT(WARPING TUG)がある。
コンテナ状の部品を並べてつないで作られる、組み立て式の筏あるいは組み立て式のタグボートと言うべき形状のもので、普段はコンテナ状の筏の素材に分けて、また、組み立てた時に取り付けるさまざまな装備はコンテナに入れて埠頭上に複数保管されている。
同じ揚陸作戦資材である浮き桟橋、MCS(Modular Causeway System)の構成要素をハンドリングする役割を担うのが、WTだ。

4月半ば頃まで、横浜ノースドックのみなとみらい地区側に沿って並ぶ「502」番の建物と「503」番の建物のあいだの空間にWTの素材を5隻分並べ、組み立て、そして艤装する作業が行われていた。

4月17日に、民間クレーンバージでこれら5隻のWTを海面に降ろし、海に浮かべられたWTをタグボートでノースドックの陸地寄りにあるV字型の切れ込み(「V-SHAPED TURNING BASIN」)のところに運ぶ作業が行われた。

そして4月19日には、それらのWTに米軍兵士たちが乗り込んで、横浜ノースドックとみなとみらい地区やハンマーヘットの間の海域をランダムに動きまわる、試験航行と操船訓練を兼ねたような訓練が行われた。

この訓練でWTは、ノースドックの埠頭の周囲にある制限水域を遥かに超えて、みなとみらい地区の「ぷかり桟橋」の辺りまで勝手に動きまわっていた。もちろん、横浜港内は米軍に提供された訓練海域では無いのだが、そんなことお構いなしの行動だ。

この訓練とみられる横浜港内での米軍の行動は、いかなる法的根拠のもとに行われたものなのだろうか。
WTが動きまわっている横では、横浜海上保安部の消防船「ひりゆう」が、WTを守るようにして浮かんでいた。

このような米兵がWTに乗船して行う操船訓練は、横浜港内では昨年以前からしばしば行われてきた。米本土の陸軍輸送部隊を横浜ノースドックに派遣して行う訓練の一環として、実施されてきたようだ。しかし、今年1月の日米2プラス2で、この春からの横浜ノースドックへの揚陸艇部隊配備が合意された後でのWT訓練の実施だ。
今回、複数のWTに乗船していた少なからぬ米兵たちは、この揚陸艇部隊とは無関係なのだろうか。それとも、何らかの関係があるのだろうか。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)



4月19日の米軍のWT訓練の間、WTを守るような位置に海上保安庁の消防船「ひりゆう」が浮かんでいた(23.4.19 星野 撮影)


2023-5-251|HOME|