横浜NDでの給油作業と、周辺水域での油浮流の関係は?


5月12日の「コットン大橋」近くの横浜ノースドックの光景


向かって右側後方の灰色のLTに青い給油船が接舷し、その周囲にオイルフェンスが張られている。給油を行っていたのだろう


手前の白いボートは海上保安庁のボート。青いボートは民間の警戒船だ(23.5.12 読者 撮影)


5月13日の同じ場所



オレンジ色のボートが海面への放水を長時間行っていた(23.5.13 星野 撮影)


同じ5月13日、同じ水域で民間の警戒船が周回を繰り返していた(23.5.13 読者 撮影)


埠頭上には、米軍の消防車が待機しているのが見えた(23.5.13 星野 撮影)

5月12日、横浜ノースドックの、コットン大橋側に突き出た部分の先端に係留されていたLT(ラージ・タグ)に民間給油船が接舷していた。
給油船とLTの周囲はオイルフェンスで囲まれていた。給油をしていたのだろう。

この2隻の周りに張られたオイルフェンスの外側には、通常、こうした作業が行われる際に配置される警戒船に加えて、横浜海上保安部の監視取締艇「れお」も警戒船に横付けしていた。
わざわざ海保のボートが作業を見守っていたということは、この給油に何らかの懸念があることが認識されていたのかもしれない。

神奈川新聞HPに5月13日付けで掲載された記事によると、この給油作業があった翌日の5月13日午前6時過ぎ、横浜港の瑞穂埠頭付近の海上に油が浮いていると、近くを航行中のつり船の乗客から118番通報があったという。
油は200メートルの幅で約2キロにわたって浮いていたという。かなりの量の油が流出していたようだ。
この神奈川新聞の報道から約17日が過ぎ、間もなく5月も終わろうとしているが、5月29日の時点でも、油の流出元や流出の原因は報じられていないようだ。

そもそも瑞穂埠頭とは、横浜ノースドックのある埠頭のことだ。
この埠頭付近で2キロにわたる油の浮流が発見されたということは、発見された13日早朝の直前に、横浜ノースドックの周辺から油が流出したということだろう。

この、5月13日早朝に横浜ノースドックの周辺で確認された油の浮遊と、前日の12日に横浜ノースドックで行われたLTへの給油作業とは、もしかしたら何か関係があるのではないか。
12日の給油の際に、海上に油が漏出したのではないだろうか。

油の浮流が発見された5月13日の午後には、その前日に給油作業を行ったLTの周りを中心に、横浜ノースドックの岸壁に沿ってオレンジ色の小型艇が海面に向けて長時間放水を続けていた。おそらく海水を放水していたのだろう。
これは漏れ出た油を揮発処理する作業そのものではないか。
さらに、5月13日には、前日、海保のボートに横付けされていた青色の警戒船が、オレンジ色のボートが放水している水域と同じ場所で何度も周回していたが、もしかしたらこれも、海水を攪拌して油の揮発を進めようとしていたのかもしれない。

繰り返すが、前日、給油作業を行った場所を中心とする水域に長時間にわたって放水を行っていたということは、LTへの給油作業によって油が漏出していた可能性があるということではないか。
ただし、5月12日のLTへの給油作業の際に油が漏出したのなら、給油の現場になぜかわざわざ立ち会っていたと見られる横浜海上保安部が、漏出に気がつかなかったというのも奇妙な話だ。

横浜ノースドックの同じ場所では、5月15日にも同様の給油とみられる作業が行われたが、その際にもオレンジ色の警戒船「しまかぜ」がその周辺で放水を行っていた。

また、5月18日にも、同じ水域でオレンジ色の警戒船が放水作業を行っているのが視認された。

さらに、こうした放水作業に加えて、5月13日と15日には、LTのすぐ近くの埠頭上に米軍消防車が待機しているのが確認された。
通常、横浜ノースドックで艦船に給油作業が行われる際、わざわざ消防車が近くに待機するということは無い。
消防車の待機は、何を意味していたのだろうか。

横浜ノースドックへの揚陸艇部隊「新編」について横浜市長が今年1月20日に防衛大臣に対して行った「要請」に対して3月3日に防衛大臣が示した「回答」によると、揚陸艇部隊を置くことによって「船舶の入出港回数が一定程度増加する」が、「米側に対し、安全に十分配慮しつつ、周辺地域への影響を最小限に留めるよう求め(る)」とのことだった。
しかし、単に入出港回数が増加するだけではなく、横浜港内での米軍訓練の回数が増加したり、給油を含む諸作業の増加により事故や海上汚染の危険が増加するということも意味しているのではないか。

まさか、仮に油を漏出させたとしても、それを揮発させる作業さえ行えば、あるいは米軍消防車を待機させれば、「安全」への「配慮」を行ったことになったり、「周辺地域への影響を最小限に留め(た)」ことになったりするのでそれを何度も繰り返してもOK、というわけではないだろう。

みなとみらい地区の目の前の、米軍の訓練水域に提供されていない横浜港内で米軍が我が物顔で訓練を繰り返したり、基地内と言えども事故の恐れのある作業を行ったりすることを許して良いのか。それが横浜港のあるべき姿なのか。横浜市は問われている。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


5月15日にも、LTに給油船が接舷していた。埠頭上には米軍消防車が待機していた(23.5.15 星野 撮影)


この日もLTへの給油作業が行われていたのかもしれない(23.5.15 読者 撮影)




周辺ではオレンジ色のボート「しまかぜ」が海面への放水を行っていた(23.5.15 読者 撮影)


埠頭上に待機する米軍消防車(23.5.15 読者 撮影)


5月18日にも、同じ水域で放水が行われているのが確認された(23.5.18 星野 撮影)


2023-5-30|HOME|