横浜ノースドックに陸自ミサイル部隊(1)


5月18日、「第一陣」の搬出に向けて待機する陸自ホークミサイル部隊の車両。右側のトラックはミサイル運搬ローダを荷台に載せている


横浜ノースドックに並ぶ陸自トラック。この場所を、日米地位協定第2条第4項(b)に基づく共同使用の場所とする日米合同委員会の合意がなされたという発表はない


陸自ミサイル部隊の隊員と車両。右上に気になる物体が並んでいるのが見えるが、これについては改めて別に紹介する



横浜ノースドックの中を試走する、ホークミサイル発射装置を牽引したトラック


パルス捕捉レーダーを牽引してノースドックの中を走るトラック


ホークミサイル運搬パレット(手前)、CW捕捉レーダー(向こう側)を牽引したトラックが、横浜ノースドックの埠頭上で試運転を行う


横浜ノースドック内の、ゲートにより近い場所で待機をする陸自ホークミサイル部隊の車両(23.5.18 星野 撮影)

5月半ば頃から6月上旬にかけて、横浜ノースドックでは、陸上自衛隊ミサイル部隊の車両や装備、多数の隊員の姿が目撃された。

例年、4月頃から6月頃にかけて横浜ノースドックには、陸上自衛隊のホークミサイル部隊が現れる。
米国での実弾射撃訓練に使用した、ホークミサイルの発射装置をはじめ、発射システムを構成する各種の装備が日本に運ばれて、まずは横浜ノースドックに並べられ、それらの発射システムの所属する原隊の隊員が、多数のトラックなどに乗って引き取りに来るためだ。
ミサイルの実弾そのものが横浜に陸揚げされているのかどうかは不明だが、搬出が完了するまでの間、ミサイル関連の各種装備が横浜ノースドックに並べられ、またそれを引き取りにきた自衛隊員たちが搬出に向けた作業を行う様子が、毎年のように確認されている。

今年も、まず「第一陣」の搬出が5月18日頃に行われた。

ただし、今年はホークミサイル以外のミサイルキャニスターのようにも見える物体も、横浜ノースドックの埠頭上に並べられているのが確認されたが、それについては今後改めて紹介したい。

ところで、陸自ミサイルの搬出のための作業や牽引するための車両の「試運転」などは、米軍基地たる横浜ノースドック内で行われているため、陸上自衛隊がミサイル関連の装備を並べて置いたり、作業をしたりするためには、本来であれば日米地位協定第2条第4項(b)に基づく日米合同委員会の合意が必要なのではないか。
にもかかわらず、例年、そのような合意がなされている形跡は見あたらない。

確かに横浜ノースドックの中には、陸上自衛隊が日米地位協定に基づいて共同使用している建物が少なくとも2棟ある。だが、ホークミサイル関連の作業が行われている場所の多くは、共同使用の建物や、その周辺ではない。
それでも毎年、自衛隊のミサイル部隊の装備は横浜ノースドックに並べられ、自衛隊員たちは米軍基地内で「当たり前」のように作業を行っている。
つまり、もしかしたら米軍と自衛隊の「現場」では、実際には日米地位協定の規定にすら規制されずに活動が行われている、ということを示しているのかもしれない。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


5月14日には、「みなとみらい地区」からは見えない場所に、陸自のミサイル部隊のものと見られるトラックが止められているのが確認された(23.5.14 星野 撮影)



1年前の2022年5月にも、陸自ホークミサイル部隊の車両が横浜ノースドックからの搬出作業を行っていた(22.5.19 星野 撮影)


2023-6-14|HOME|