輸送艦フィッシャーの横浜民間埠頭での荷役作業を振り返る


鈴繁埠頭に停泊した米海軍輸送艦フィッシャー(23.6.17 星野 撮影)


フィッシャーは2021年に続いて、横浜の民間埠頭で軍事作戦のための物資の積み込みを行った(23.6.18 星野 撮影)


鈴繁埠頭での荷役作業の間、フィッシャーと横浜ノースドックとの間を何度も行き来していたCauseway Ferry。
米軍兵士が操船していたが、かれらはどこの部隊の所属なのだろうか(23.6.17 星野 撮影)


Causeway Ferryは、横浜ノースドックにAPSに保管されている揚陸作戦資材に含まれている。
本来は、軍用車両などを載せて海岸まで運ぶ役割を果たす組み立て式の筏の一種だ(23.6.17 星野 撮影)


米兵たちが乗り、民間埠頭の鈴繁埠頭に接岸するような位置で待機するCauseway Ferry(23.6.17 星野 撮影)

6月16日に横浜港の民間埠頭である鈴繁埠頭に接岸した米海軍車両貨物輸送艦フィッシャー(FISHER T-AKR 301)は、6月21日の早朝まで、すぐ隣に横浜ノースドックという米軍港湾施設があるにもかかわらず、この民間埠頭に居座った。

その後フィッシャーは横須賀基地沖に移動して、6月28日の夕方に東京湾を出ていった。

鈴繁埠頭停泊中にフィッシャーは、相模総合補給廠から横浜ノースドックに運ばれたパイプラインセットのコンテナを積み込んだことは、既にこのHPで報じている。
だが、フィッシャーが横浜の民間埠頭で積み込んだのは、それらのコンテナだけではない。

APS(Army Prepositioned Stocks:米陸軍事前配備貯蔵)の拠点としての横浜ノースドックに大量に「保管」されているMCS(Modular Causeway System:浮き桟橋などの素材)などの揚陸作戦資材も積み込んだのだ。


輸送艦に積み込むために、まず横浜ノースドックの中でMCSを移動させようとして、コンテナハンドラーを使って民間のトレーラーの荷台にMCSを積む作業が続けられた(23.6.18 星野 撮影)


コンテナハンドラーを操作しているのは、米軍兵士たちだった。かれらはどこの部隊に所属しているのだろうか(23.6.18 星野 撮影)


トレーラーの荷台からMCSを吊り上げて、海上に浮かぶバージに積み込む、民間会社の大型クレーンバージ(23.6.17 星野 撮影)




MCSのバージへの積み込み作業が続く(23.6.18 星野 撮影)


この場所でのMCSのバージへの積み込み作業は、民間労働者が担っている(23.6.18 読者 撮影)


MCSをフィッシャーの横に運ぶために待機するバージ(23.6.17 星野 撮影)


タグボートでバージを引っ張って、MCSをフィッシャーの横に運ぶ(23.6.19 星野 撮影)


MCSを船積みするためにフィッシャーの右舷に接舷するバージ(23.6.19 読者 撮影)

フィッシャーが鈴繁埠頭で揚陸作戦資材を積み込むルートには、まず「海上輸送ルート」があった。

これは、MCSを横浜ノースドックの中で民間トレーラーの荷台に載せて波打ち際に運び、大型クレーンバージを使って、海上に浮かぶバージ(台船)に移して、そのバージをタグボートで押してフィッシャーのところに海路運んで接舷し、フィッシャーのクレーンで船内に積み込む、というものだ。


鈴繁埠頭の岸壁上で、MCSを吊り上げているフィッシャーのクレーン。横にはMCSを積んだトレーラーも止まっている(23.6.20 星野 撮影)






横浜港の民間埠頭の岸壁上で、米軍艦船による軍事物資の荷役作業が行われている(23.6.20 星野 撮影)


輸送艦フィッシャーの甲板上に上げられたMCS(23.6.19 星野 撮影)

しかし、よく見てみると、フィッシャーのクレーンは埠頭の陸地側でもMCSを吊り上げており、埠頭上には作業員の姿が確認され、MCSを積んだ民間トレーラーも停車していた。

ということは、フィッシャーへの積み込みには、もう一つのルートの「陸上輸送ルート」もあったということではないか。

つまり、揚陸作戦資材を積んだ民間トレーラーが、横浜ノースドックを出て公道を通過して鈴繁埠頭に行き、そこからクレーンでフィッシャーに積み込むというルートもあったのではないか、ということだ。

この2つのルートでフィッシャーへの揚陸作戦資材などの積み込み作業が行われていたのだが、作業は必ずしもスムーズに進んでいたわけではないように見えた。

例えば、MCSを積んだバージがフィッシャーの右舷に接舷してクレーンでの積み込みを待っていたにもかかわらず、長時間待機した挙げ句、結局、MCSを積んだままノースドックの岸壁に引き返してくることもあった。

フィッシャーは、2021年にも鈴繁埠頭で揚陸作戦資材の積み込みを行ったのだが、そのとき以上の量のMCSの積み込み作業は、当初の見込み通りには進まなかったということなのだろうか。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


鈴繁埠頭の輸送艦フィッシャーに接舷していたものの、MCSを積んだまま横浜ノースドックに戻ってきたバージ(23.6.18 読者 撮影)


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