即応予備船隊の輸送艦、横浜NDに連続して入港(2)


9月4日、横浜ノースドックに入港した車両貨物輸送艦ケープ・ヘンリー(23.9.4 星野 撮影)


ケープ・ヘンリー入港の前日の9月3日には、兵站支援艦「ブレホン・B・サマーヴェル大将」は横浜を出港していなくなっていた。
写真の左の音響測定艦はエフェクティブ(23.9.4 星野 撮影)


ケープ・ヘンリーの後部のランプから、車両やコンテナなどが埠頭上に降ろされた(23.9.4 星野 撮影)


ケープ・ヘンリーから陸揚げされたトラック(23.9.4 星野 撮影)



ケープ・ヘンリーの船体の向こうに、陸揚げされた車両が並んでいるのが見える(23.9.4 星野 撮影)


ランプの向こうにも、陸揚げされたコンテナや車両が見える(23.9.4 星野 撮影)


陸揚げされたコンテナの一部(23.9.4 星野 撮影)




ミニバンからモノを運び込んだり、逆にミニバンに積み込んだりする様子も見られた。
オペレーション・パスウェイズの長い任務に就いている乗組員たちのモノだろうか(23.9.4 星野 撮影)

車両貨物輸送艦ケープ・ライズ(CAPE RISE T-AKR 9678)は9月2日の朝に横浜を出港したが、その僅か2日後の9月4日には、車両貨物輸送艦ケープ・ヘンリー(CAPE HENRY T-AKR 5067)がやって来た。

ケープ・ヘンリーも、ケープ・ライズと同様に即応予備船隊(RRF: Ready Reserve Force)の貨物船だ。
この車両貨物輸送艦は、もともとは1979年に三菱重工業長崎造船所で建造されたイギリス船籍のBarber Priamという名前のローロー船だった。1986年に米運輸省連邦海事局が購入し、RRFに編入され艦名もケープ・ヘンリーに変えられた。
現在、普段はサンフランシスコに係留されていて、有事には5日で現役に復帰する艦に指定されている。
ただし、「有事」のみに使用が限定されているわけではなく、演習などでもしばしば使用されている。
今年4月にフィリピンで行われた「バリカタン23」演習のための車両や物資の輸送にも投入された。

今回、横浜に現れる前には、ケープ・ヘンリーはインドネシア、カリマンタン島のケタパン(Ketapang)を現地時間の8月26日に出港している。その前の足取りは不明だが、AIS(自動船舶識別装置)の情報によれば、7月後半にハワイのパールハーバーに立ち寄っていたようだ。

8月26日までケープ・ヘンリーが寄港していたインドネシアでは、8月の終わりから9月半ばまでにかけて、米軍とインドネシア軍、それにシンガポール軍やオーストラリア軍、イギリス軍、さらには日本の陸上自衛隊も加わった大規模な軍事演習「スーパー・ガルーダ・シールド23」(Super Garuda Shield 23)が実施されている。
カリマンタン島でもスーパー・ガルーダ・シールド演習は行われているようだ。

推測だが、ケープ・ヘンリーはスーパー・ガルーダ・シールドで使用する軍事物資の輸送を担ったのではないか。そして、その足で横浜にもやって来たのだろう。

ケープ・ヘンリーのこうした動きは、米陸軍の「オペレーション・パスウェイズ」(Operation Pathways)の一環なのではないだろうか。

9月4日に横浜ノースドックに接岸したケープ・ヘンリーは、少なくとも3両のストライカー装甲車を含む多数の軍用車両やコンテナを陸揚げした。
これらの車両や物資は、9月14日から始まる日米合同軍事演習「オリエントシールド23」に使用するのだろうか。

ケープ・ヘンリーは、9月5日の夕方に横浜を出港した。その後、9月8日の朝に沖縄の天願桟橋に接岸し、6時間弱ほど滞在した後、再び出港している。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


9月5日、横浜ノースドックを離岸する、車両貨物輸送艦ケープ・ヘンリー(23.9.5 星野 撮影)


ケープ・ヘンリーの甲板上。陸揚げされなかった白いバスやコンテナ、牽引車両など置かれている(23.9.5 星野 撮影)


操舵室の横には、長椅子が置かれている(23.9.5 星野 撮影)


横浜を出港していくケープ・ヘンリー(23.9.5 星野 撮影)


ケープ・ヘンリー出港直後の横浜ノースドック。陸揚げされた車両やコンテナが並べられているのが見える(23.9.5 星野 撮影)


陸揚げされたコンテナの一部(23.9.5 星野 撮影)


赤十字のマークが付けられている車両は、米陸軍ストライカー装甲車の野戦救急車バージョン、M1133 Medical Evacuation Vehicleだ。
しかし、機関銃の銃座のようなものがついているようにも見える(23.9.5 星野 撮影)


野戦救急車バージョンも含めて、少なくとも3両のストライカー装甲車が並べられているのが確認できた(23.9.5 星野 撮影)


2023年7月31日現在の、米運輸省連邦海事局の国防予備船隊(NDRF)所属船の目録のごく一部。赤い線を引いたところにケープ・ヘンリーが載っている。
(米国運輸省連邦海事局HPに掲載されているNDRF所属船目録より引用)


2023-9-9|HOME|