機動揚陸艇(LCM)、横浜NDからすべて搬出される(1)


2月29日、横浜NDに入港した貨物船ローズマリー1。甲板上には既に2隻のLCMが積み込まれている(24.2.29 星野 撮影)


別の角度からみたローズマリー1。LCMを甲板に固定する作業が行われている(24.2.29 読者 撮影)


3隻目のLCMの積み込みが始められようとしている(24.2.29 星野 撮影)


つり上げられたLCM(24.2.29 読者 撮影)



甲板の高さまで引き上げられたLCM(24.2.29 星野 撮影)


4隻のLCMを甲板上に積み込んだローズマリー1。この日のうちに出港した(24.2.29 星野 撮影)

既に紹介したように、横浜ノースドックに「新編」された陸軍揚陸艇部隊の運用開始式典が、今年2月に行われた。

しかし、横浜ノースドックには揚陸艇部隊が配置されるよりもずっと前から、揚陸艇などさまざまな米軍の揚陸作戦用資材が備蓄されていた。
それら陸軍揚陸作戦資材が横浜ノースドックに搬入されたのは、2002年から2004年にかけてのことだ。横浜ノースドックが陸軍事前配備貯蔵(Army Prepositioned Stock: APS)の拠点の1つにされたからだ。

搬入された揚陸作戦用の資材の中に、機動揚陸艇(Landing Craft Mechanized: LCM)があった。
LCMは、2種類、計9隻が横浜ノースドックの埠頭上に陸上保管されてきた。
ところが近年、これらLCMの撤去の動きが進み、今年4月前半までに、すべてのLCMが横浜ノースドックからいなくなった。

今年2月20日の時点では、LCMはまだ5隻、横浜ノースドックに陸上保管されていた。
しかし、まず2月21日に、LCMのうち4隻が海上に降ろされた。また、その時点までに横浜ノースドックに置かれていたすべてのLCMの船体からは、米陸軍所属の舟艇であることを示す「US ARMY」の文字が消されていた。

海上に降ろされた4隻のLCMは、2月29日の朝に横浜ノースドックに入港し、同日の夜には出港していったパナマ船籍の貨物船、ローズマリー1(ROSEMARY 1)に積み込まれ、横浜から搬出されていった。

ローズマリー1は、横浜出港後1日ほど相模灘を停滞していたのだが、3月2日には太平洋を南下していった。その後の行方ははっきりとはしていないが、3月22日にはパプアニューギニアの首都ポートモレスビーに入港したので、4隻のLCMを太平洋の島国に運んだことは間違いなさそうだ。

米陸軍は老朽化したLCMを、最新型の上陸用舟艇である機動支援艇(MSV)に更新する計画を進めている。
今回の搬出はその一環だろう。

米軍は横浜から搬出したLCMを南太平洋の島国に売却したのか、それとも提供したのかは、今のところはっきりとしていない。
しかし、老朽化した上陸用舟艇を廃棄せずに南太平洋に運んだのは、米軍にとって南太平洋の島国との関係つなぎ止めの意図があってのことだろう。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


横浜ノースドックには、数年前まで2種類9隻のLCMが備蓄されていた(赤丸の中)(18.6.28 星野 撮影)


今年2月20日の夕方の時点では、5隻のLCMが置かれていた(24.2.20 星野 撮影)


2月21日、雨の中、4隻が海上に降ろされた(24.2.21 星野 撮影)


海上に降ろされた4隻のLCM(24.2.21 読者 撮影)


LCMはすべて、米陸軍所属であることを示すus armyの表示が消されていた(24.2.26 読者 撮影)


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