米民間タグボート、米本土から横浜NDに揚陸艇を搬入


5月5日、米本土から揚陸艇を横浜ノースドックに運んできたタグボート、パシフィック・ファルコン(24.5.5 星野 撮影)


5月5日、パシフィック・ファルコンによって横浜ノースドックに搬入された揚陸艇パウルス・フック(「33」の番号が書かれた揚陸艇)(24.5.5 星野 撮影)


パウルス・フックは甲板にコンテナを積んで横浜にやって来た(24.5.6 星野 撮影)


パウルス・フックの甲板上のコンテナは、5月7日には降ろされていた(24.5.7 星野 撮影)


5月18日、出港前日のパシフィック・ファルコン(24.5.18 星野 撮影)

5月5日、米国船籍の民間タグボート、パシフィック・ファルコン(PACIFIC FALCON T-AT)が横浜ノースドックに入港した。

パシフィック・ファルコンは近年、陸軍揚陸艇の米本土から横浜への搬入や米本土への搬出のためにしばしば横浜ノースドックに入港しているが、今回も米本土から揚陸艇を横浜に運んできての入港だった。

今回、5月5日にパシフィック・ファルコンが米本土から運んできたのは、ラニーミード級揚陸艇のパウルス・フック(PAULUS HOOK LCU 2033)だ。
揚陸艇パウルス・フックは、これまで米本土カリフォルニア州ポート・ヒューニーメの第481輸送中隊に配属されていたが、今回、横浜に新たに配備されたということのようだ。

第481輸送中隊と言えば、昨年12月にパシフィック・ファルコンが横浜ノースドックに運び込んだラニーミード級揚陸艇のキングスマウンテン(KINGS MOUNTAIN LCU 2025)も、同中隊所属の揚陸艇だった。この揚陸艇も、第5輸送中隊の新編後、横浜ノースドックに新たに配備された船舶だ。
つまり、横浜ノースドックには、これまで配置されていなかった新たな揚陸艇が次々と運び込まれているのだ。

しかし、奇妙なことがある。今年1月17日、防衛省は「先般、米側から部隊の運用開始等について、以下のとおり情報提供がありました」として「新編に伴う船舶の増加なし(横浜ノース・ドックに配置済の船舶を使用)」と横浜市や市民に説明する文書を発表していたはずだ。
にもかかわらず、部隊の新編後、横浜ノースドックに「配置済」ではなかった揚陸艇の搬入が繰り返されているのは、一体どういうことなのか。

米軍が、防衛省や日本社会に住む人びとに対して、あからさまに虚偽の「情報提供」をしたということだろうか。
それとも、防衛省もそれがデタラメであることを知りながら、米軍と一緒になって市民に虚偽の説明をしているということだろうか。
「大本営発表」の愚行に何も学んでいないのだろうか。
逆に、もしも万一、米軍の説明が虚偽であることに防衛省が気付いていないとするならば、防衛省・自衛隊はその程度のことも見抜くことができないほど、無能な組織だということになる。
何しろ、横浜ノースドックの埠頭の中には陸上自衛隊が共同使用している建物があり、自衛隊員たちが常駐しているのだから。

さらに、横浜ノースドックがイヤでもよく見えてしまう位置に立地している高層ビルの市庁舎から日常的にノースドックの状況を視認しているはずの横浜市基地対策課も、おそらくは揚陸艇が新たに搬入されていることに気が付いているはずだ。
にもかかわらず、このあからさまな虚偽説明や約束違反に対し横浜市が抗議を行ったという話が伝わってこないのは、一体どうしてなのだろうか。

いずれにせよ、米側の説明がデタラメであることが明らかになった以上、横浜市も防衛省も、揚陸艇パウルス・フックやキングスマウンテンの配備撤回を求めるべきだ。

なお、5月5日に揚陸艇を横浜ノースドックに搬入したパシフィック・ファルコンは、5月19日の朝、横浜を出港した。まずはハワイの港に向かっているようだ。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


防衛省が1月17日付で発表した文書。米側の情報提供として、揚陸艇部隊新編に伴う船舶の増加はなく、
「横浜ノース・ドックに配置済の船舶を使用」することなどが明記されている(横浜市基地対策課HPより引用)


米陸軍第481輸送中隊フェイスブックに2014年9月30日付で投稿された写真。揚陸艇パウルス・フック(「33」の船)が写りこんでいる
第481輸送中隊フェイスブックより引用
https://www.facebook.com/photo/?fbid=605207066255534&set=pcb.605207609588813


2024-5-20|HOME|