米民間船、陸軍装備を米本土から横浜ND経由で「第1列島線」の演習に(4)


5月4日、バリカタン24演習が行われているフィリピンのバタン島バスコの桟橋に停泊する補給船シーコア・リー
米軍画像サイトDVIDS記事「Balikatan 24: U.S. Army 8th MPs Provide Force Protection [Image 2 of 3]」より引用
(https://www.dvidshub.net/image/8395293/balikatan-24-us-army-8th-mps-provide-force-protection)

さて、横浜ノースドックを4月20日に出港した米民間補給船シーコア・リー(SEACOR LEE T-AK)は、どこに向かったのか。

まず、バリカタン24演習が開始されたフィリピンのスービックに4月28日に入港し、5月1日まで滞在した。
スービックでシーコア・リーが何をしたのかは、今のところ明らかになっていない。

シーコア・リーはその後、5月1日にスービックを出港し、5月4日までにはバタン諸島のバタン島にあるバスコに入港している。
バタン諸島はフィリピンの最も北、台湾に最も近いところにある諸島だ。
米比大規模軍事演習バリカタン24で、そのバスコは演習の舞台の一つとなった。

バスコでのシーコア・リーの活動についても、今のところ明らかになっていないが、米軍画像サイトDVIDSには、バスコで米太平洋陸軍第8戦域維持コマンドの第8憲兵旅団(8th Military Police Brigade)が同船の周囲を警備している写真が掲載されている。

少なくとも、米本土から横浜を経由して「第1列島線」の、台湾に隣接するフィリピン最北部の島まで陸軍装備を運び込む役割を、シーコア・リーは担ったということは言えるだろう。

なお、第8戦域維持コマンドは、全長60メートルの小型貨物船、カーペンター・サン(CARPENTER SON T-AK)もシーコア・リーと同じ時期にバスコに入港させ、第130工兵旅団第7潜水分遣隊(7th Dive Detachment, 130th Engineer Brigade, 8th Theater Sustainment Command)の装備の陸揚げを行っている(DVIDS記事「Balikatan 24: U.S. Army Divers Unload Equipment from Cargo Ship」参照)。
カーペンター・サンは、1980年に建造されたかなり年代物の小型貨物船だ。
こうした小型の貨物船をオペレーション・パスウェイズ2024の輸送艦として米陸軍が敢えて使ったのは、第1列島線の離島の小さな港に接岸して装備を陸揚げすることを想定してのことだろう。

シーコア・リーは、バリカタン24の終了後、5月14日にグアムに入港している。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)



5月4日のバスコの桟橋の様子。左側の後方の船がシーコア・リー。右側のクレーンバージの横に接舷しているのが、貨物船カーペンター・サン。
米陸軍HPにはこの写真に、カーペンター・サンが第130工兵旅団第7潜水分遣隊の装備を陸揚げしているという説明が付けられている。
米陸軍(US ARMY)HP、2024年5月14日付け記事「8th TSC contracts cargo ship to complete engineering projects during Operation Pathways」より引用
(https://api.army.mil/e2/c/images/2024/05/15/a53d6961/original.jpg)


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