豪航洋タグ、揚陸艇をオーストラリアから横浜に運ぶ
9月28日、揚陸艇フォート・マクヘンリーを曳いて横浜ノースドックに入港した豪民間航洋タグボート、P.T.フォーティテュード(24.9.28 星野 撮影)
フォート・マクヘンリーとP.T.フォーティテュードは、まだロープでつながれていた(24.9.28 星野 撮影)
フォート・マクヘンリーに接舷したまま補給を受ける、P.T.フォーティテュード(24.9.30 星野 撮影)
10月1日になって、P.T.フォーティテュードとフォート・マクヘンリーを繋いでいたロープが外された(24.10.1 星野 撮影)
10月1日の午後には、P.T.フォーティテュードはフォート・マクヘンリーから離れて、その近くに接岸した(24.10.1 星野 撮影)
10月2日、出港直前のP.T.フォーティテュードと揚陸艇フォート・マクヘンリー(24.10.2 星野 撮影)
この数時間後、P.T.フォーティテュードは出港した(24.10.2 星野 撮影)
10月2日、横浜を出港し東京湾を南下するP.T.フォーティテュード。単独で航行していることが辛うじてわかる(24.10.2 星野 撮影)
揚陸艇フォート・マクヘンリーはそのまま横浜ノースドックに残った(24.10.2 星野 撮影)
9月28日、オーストラリア船籍の民間航洋タグボート、P.T.フォーティテュード(P.T.FORTITUDE)が米陸軍ラニーミード級揚陸艇フォート・マクヘンリー(FORT MCHENRY LCU 2020)を曳いて横浜ノースドックに入港した。
P.T.フォーティテュードは、現地時間の9月3日に、オーストラリアのダーウィン港を出港して横浜にやって来た。オーストラリアからずっとフォート・マクヘンリーを曳いてきたようだ。
フォート・マクヘンリーは、もともとはAPS(陸軍事前配備貯蔵)の装備として横浜ノースドックに係留されていたラニーミード級揚陸艇のうちの1隻だ。オーストラリアに行ったのは、昨年夏のことだ。
オーストラリアに行くまでの、2023年前半のフォート・マクヘンリーの動きを以下に簡単にまとめておこう。
日米合同委員会で横浜ノースドックへの陸軍揚陸艇部隊配置の合意が突如発表されたのが、昨年1月のこと。その1月の後半に横浜港内で車両を積んで航行訓練などを行った後、フォート・マクヘンリーは2月1日、横浜ノースドックを出港して南西方面に向かった。
2月6日に那覇軍港に到着した後、2月半ばまでは那覇軍港とホワイトビーチに出入りをしていた。
2月21日から3月8日まではフィリピンのスービックに行っていた。
3月12日に那覇軍港に戻り、3月26日からはホワイトビーチや金武、キャンプシュワブなどで活動した。
3月31日に那覇軍港を出港して、4月16日にはスービックに入港し、4月中はフィリピンで米比合同軍事演習バリカタン23に参加した。演習では、高機動ロケット砲ハイマースをフィリピンの海岸に上陸させる訓練などを行った。
その後、5月1日に那覇軍港に入港し、5月4日にホワイトビーチに立ち寄った後、5月7日の夜に横浜ノースドックに一旦戻ってきている。
5月17日には横浜港内で航行訓練を行い、6月5日の夕方に再び横浜ノースドックを出港した。
6月9日には那覇軍港に到着。6月13日にホワイトビーチに入港。6月17日から24日にかけて那覇軍港に滞在した後、6月28日にはフィリピンのスービックに到着。スービックを7月1日に出港し、オーストラリアのタウンズヴィルに7月15日に到着した。
そして、米軍のみならず自衛隊なども参加し多国間合同軍事演習として行われたタリスマンセイバー2023(Talisman Sabre 2023)に参加したようだ。
以上が、オーストラリアに行くまでの、揚陸艇フォート・マクヘンリーの昨年前半の動きの概要だ。
タリスマンセイバーの終了後も、フォート・マクヘンリーは引き続きオーストラリアで活動を続けていたようだ。
つまり、1年以上に渡ってオーストラリアを拠点として活動していた揚陸艇が、突然横浜に「戻って」来たということだ。
フォート・マクヘンリーは、オーストラリアに行ったときには米陸軍の兵士によって自力で航行していたはずだが、横浜に戻ってくるときには、民間タグボートに曳かれてきた。
オーストラリアに行ったとき、そしてオーストラリアを拠点として活動していたときに船を動かしていた兵士たちの所属部隊は、どこなのだろうか。
そもそも1年以上もオーストラリアで活動していたフォート・マクヘンリーは、それでも横浜の部隊に所属する揚陸艇だということなのだろうか。
防衛省は、横浜ノースドックの揚陸艇部隊は「13隻及び約280名」で構成されると文書で述べている。しかし、その「13隻」の内訳を頑として明らかにしようとしない。横須賀や佐世保を母港とする艦船の名前は明らかにしているのに。
1年以上オーストラリアで活動していたフォート・マクヘンリーは、横浜ノースドックを母港とする「13隻」に入るのか、入らないのか。そもそも「13隻」には、どの船が入っているのか。
それが説明できないのであるならば、「13隻」という数には、何の意味もないということになる。防衛省は、何の意味もない数字を示して、何かを説明したことにするつもりなのか。あまりにも市民を馬鹿にした態度だ。
なお、オーストラリアからやって来た航洋タグ、P.T.フォーティテュードは、10月2日の午後に、単独で横浜ノースドックを出港した。AIS(船舶自動識別装置)の情報によれば、目的地はオーストラリアの港だ。
(RIMPEACE編集部 星野 潔)
昨年1月30日、横浜港内で軍用車両を載せて操船訓練をする揚陸艇フォート・マクヘンリー(23.1.30 星野 撮影)
昨年5月7日の夜、沖縄から横浜ノースドックに戻ってきた揚陸艇フォート・マクヘンリー(手前の赤いランプを付けている船)(23.5.7 星野 撮影)
昨年6月5日、横浜出港直前の揚陸艇フォート・マクヘンリー。その後、オーストラリアに行き、今年9月28日まで横浜に戻って来なかった(23.6.5 星野 撮影)
2024-10-6|HOME|