陸軍最先任上級曹長が横浜ノースドックを訪問


2月20日、横浜ノースドックで満艦飾になっていた兵站支援艦「ブレホン・B・サマーヴェル大将」(25.2.20 星野 撮影)

2月20日、既に横浜ノースドックに1ヶ月近く停泊を続けていた陸軍兵站支援艦「ブレホン・B・サマーヴェル大将」(GENERAL BREHON B. SOMERVELL LSV-3)が満艦飾になっていた。
何事があったのだろうか。

米軍画像サイトDVIDSは、マイケル・R・ワイマー陸軍最先任上級曹長(SMA: Sergeant Major of the Army)がこの日、横浜ノースドックを訪問し、兵站支援艦サマーヴェルの乗組員からLSVの能力についてブリーフィングを受けたことを伝えている。

SMAは陸軍の最高位の下士官であり、軍の高官に位置付けられている。 米陸軍戦史センター発行の書籍“The Sergeants Major of the Army”によればそのオフィスはペンタゴンの陸軍参謀総長の部屋の真向かいにある。そして、下士官たちの現状やさまざまな苦情、問題、意見などを参謀総長に直接伝える役割を果たすのと同時に、陸軍全体の政策に助言する役割も持っている。

それゆえSMAは「下士官」といえども米陸軍省のプロトコル規定上、陸軍の公式行事や社交行事、会議、会合、式典で将官と同等に扱われることになっている(米陸軍省パンフレット600-60 “A Guide to Protocol and Etiquette for Official Entertainment” p.24)。

つまり、兵站支援艦サマーヴェルの2月20日の満艦飾は、ワイマー最先任上級曹長の訪問を歓迎してのことだったようだ。

ところで、上述のDVIDS記事は、ワイマー最先任上級曹長にブリーフィングを行ったサマーヴェルの乗組員の所属部隊を「the168th Transportation Detachment」(第168輸送分遣隊)と紹介している。
第168輸送分遣隊は、ハワイに本拠を置く米太平洋陸軍第8戦域維持コマンド(8th Theater Sustainment Command)の8th Special Troops Battalionからやって来た部隊だ。

最先任上級曹長に陸軍兵站支援艦についてブリーフィングを行ったのが第5輸送中隊所属の兵士たちではなかったということは、今のところ兵站支援艦サマーヴェルは、横浜ノースドックの第5輸送中隊に属する艦船では無いということなのだろう。
しかし、頻繁にしかも長期間横浜に滞在し、それと共にハワイから派遣された部隊も横浜ノースドックに居座るのであれば、横浜ノースドックを拠点とする船や部隊が実質的に増えたということになってしまうのではないか。

なお、兵站支援艦「ブレホン・B・サマーヴェル大将」は3月6日、横浜を出港して南西方向に進路をとった。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


最先任上級曹長の一行を乗せて、横浜ノースドックに降下する陸軍ブラックホークヘリコプター。
米軍画像サイトDVIDSに2月20日付けで掲載された動画「SMA Weimer Visits Yokohama B-Roll」より引用
飛行場やヘリポートではない横浜ノースドックでのヘリの離着陸は、国土交通大臣の許可を得ていなければ日本の航空法に違反しており、そもそも危険だ。
米軍は日本の航空法を尊重していると日本政府は国会で答弁しており、日本政府には米軍に航空法を守らせる責務がある。
米軍が事前に国交大臣の許可を得ていなかったのならば、米軍は危険な違法行為の動画を「堂々と」HPに掲載しているということになる。
https://www.dvidshub.net/video/954183/sma-weimer-visits-yokohama-b-roll


ヘリから横浜ノースドックに降り立った最先任上級曹長の一行
米軍画像サイトDVIDSに掲載された同上の動画より引用


横浜ノースドックで軍人たちと話をするワイマー最先任上級曹長。掲げられている地図は米軍の対中国戦構想の背後にある認識を示す形になっていると考えられる。
米軍画像サイトDVIDSの2025年2月20日付け記事「PACIFIC UPDATE: SMA Weimer Visits Yokohama North Drive」に添付された動画より引用
https://www.dvidshub.net/video/953604/pacific-update-sma-weimer-visits-yokohama-north-drive


兵站支援艦サマーヴェルの乗組員と握手を交わすワイマー最先任上級曹長。
米軍画像サイトDVIDSの2月20日付け同上記事の同上動画より引用


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