陸軍ヘリ、横浜ノースドックで飛行訓練


3月6日、横浜ノースドックとその周辺の横浜港で周回・離着陸訓練を行った米陸軍ブラックホークヘリコプター。キャンプ座間所属だ(25.3.6 星野 撮影)

3月6日の16時21分頃から31分過ぎ頃にかけて、米陸軍ブラックホークヘリコプターが横浜ノースドックや周囲の横浜港上空で、離着陸を含む周回飛行訓練を行った。

横浜港で訓練を行ったブラックホークは、東京の都心にある米軍基地、赤坂プレスセンターを16時4〜5分頃に飛び立った機体だ。
六本木の赤坂プレスセンターを飛び立ったブラックホークは、まずは西そして北西に向かって飛行し、16時9分頃に杉並区のJR中央線の上を通過。16時13分頃に練馬区の大泉学園付近で大きく南に方向転換した。

その後、横浜市神奈川区子安通付近を通って横浜港上空に到達したのが、16時21分頃。 それから16時31分頃にかけて、ブラックホークは横浜ノースドックの周囲の海上を2周し、1周するごとにノースドックのグラウンドに着陸し、しばらくすると浮上する訓練を行った。
横浜ノースドックのグラウンドへの2回目の着陸と離陸を終えた16時31分頃、ブラックホークは北西方向へと飛び去っていった。

そして16時37分頃に川崎市麻生区の新百合ヶ丘駅の手前、王禅寺西付近で西南方向に向きを変え、16時40分頃に町田市役所付近の上空、JR横浜線の上を通過。16時43〜44分頃にキャンプ座間の飛行場に着陸した。

ADS-B(Automatic Dependent Surveillance-Broadcast)という名前の、航空機が位置と高度を絶えず放送するシステムを利用した、航空機の位置情報を検索するアプリの情報によれば、この機体の横浜港の海上での高度は900〜800フィート、つまり約274〜244メートル。
今回は、米軍ヘリの普段のノースドックでの周回飛行訓練よりは高い高度を飛んでいたような印象も受けたが、それでも「市街地等の人又は家屋の密集している地域では、当該航空機を中心として水平距離600メートルの範囲内の最も高い障害物の上端から300メートルの高度」という航空法令の最低安全飛行高度が守られていなかった可能性を否定できない。
とりわけ、この機体が横浜ノースドックと「みなとみらい地区」の間の海上を飛行していた時には、600〜400フィート(約183〜約122メートル)の高度を示すこともあった。明らかな最低安全飛行高度違反だ。

何度も繰り返すが、そもそも横浜ノースドックは飛行場でもヘリポートでもなく、航空機の安全な離着陸を管制する設備を持っていない。
飛行場でもヘリポートでもない場所で航空機の離着陸を行うことは、国土交通大臣の許可を得ない限りは航空法違反だ。
人口や交通やさまざまな危険物が密集する横浜港のど真ん中で、軍用機が周回飛行・離着陸訓練を行うことは極めて危険なことであり、市民の安全を脅かす深刻な脅威だ。
日本政府は国会答弁で、米軍機は日本の航空法を尊重して飛行していると答弁しており、日本政府には米軍に航空法を守らせる責務がある。それが現実の「安全保障」の焦眉の課題だ。

とりわけ米陸軍や空軍は、横浜ノースドックでの危険な飛行訓練を何度も繰り返している。
たとえば今年1月15日には、横田基地所属の空軍UH-1Nヘリが20時20分頃から36分頃にかけて、横浜ノースドックの周りを何度も周回し、離着陸を繰り返す夜間訓練を行った。
この機体は、横浜での訓練を終えると今度は東京に向かい、渋谷の上空付近を通り、スカイツリーのところで折り返して横田基地へと戻っていった。東京都心の夜間観光飛行のつもりか?

米軍の幹部は、すぐ近くに高層マンションが並び、航空機の安全な離着陸のための管制施設も照明装置も無い横浜ノースドックでの夜間周回飛行・離着陸訓練が危険だということすら認識できないのだろうか。
それとも、日本の法令を敢えて無視して、日本に暮らす人びとを敢えて危険に曝すことによって、米軍は日本の法令に縛られずに行動でき、日本の人びとは何をされても米軍に従うべきなのだというメッセージを送っているつもりなのだろうか。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


横浜ノースドック内のグラウンドへの降下を始めるブラックホーク(25.3.6 星野 撮影)


着陸態勢に入るブラックホーク(25.3.6 星野 撮影)


地上から浮上したブラックホーク(25.3.6 星野 撮影)


再び周回飛行を開始する(25.3.6 星野 撮影)


ADS-Bのデータでは、この付近での飛行高度は900フィート。地上の状況から見ても、最低安全飛行高度が守られていない可能性を否定できない(25.3.6 星野 撮影)


地上に2本並ぶ横浜火力発電所の煙突の高さは約200メートルだ(25.3.6 星野 撮影)


ブラックホークが飛んでいるのは、ノースドックと「みなとみらい地区」の間の海の上だ(25.3.6 星野 撮影)


ノースドック内のグラウンドへと再び降下していく(25.3.6 星野 撮影)



再び着陸態勢に入る(25.3.6 星野 撮影)


ローターを回したまま着地しているブラックホーク。道路上では、仕事を終えた基地従業員などの車やバイクが列をなしている(25.3.6 星野 撮影)


浮上したブラックホーク(25.3.6 星野 撮影)


北西の方向に飛び去って行った(25.3.6 星野 撮影)


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