今冬も横須賀の民間造船所に入った米海洋調査船


2月28日、住友横須賀造船所を出て横浜ノースドックに戻ってきた海洋調査船オーシャン・インターベンション(25.2.28 星野 撮影)


2024年12月2日、住友横須賀造船所に向かう前日のオーシャン・インターベンション。横浜ノースドックに停泊中(24.12.2 星野 撮影)


住友横須賀造船所に入ったオーシャン・インターベンション(24.12.6 星野 撮影)


ここでどのような工事を行ったのかは不明だ(24.12.9 星野 撮影)


横須賀基地の側から住友横須賀造船所を見たところ(24.12.29 星野 撮影)


辛うじてオーシャン・インターベンションのマストの上部、レドーム、片方の煙突が確認できた(24.12.29 星野 撮影)


2月27日、住友横須賀造船所を出る前日のオーシャン・インターベンション(25.2.27 星野 撮影)

2月28日、海洋調査船オーシャン・インターベンション(OCEAN INTERVENTION T-AGS)が横浜ノースドックに入港した。
昨年12月3日に出港して以来のノースドックへの入港だ。

この間、オーシャン・インターベンションは12月3日から2月28日の朝まで、横須賀市にある住友横須賀造船所に入っていた。

オーシャン・インターベンションは、一昨年の12月12日から昨年3月1日にかけても住友横須賀造船所に入っていた。
1年に満たない周期で2期連続して、冬に横須賀の民間造船所に入っていたことになる。

オーシャン・インターベンションの活動内容については、謎が多い。
海底油田の掘削から廃止措置まで、海底油田のライフサイクル全般にわたるサービスと製品を開発しているというOceaneering International社がこの船の登録所有者だが、米軍基地に入出港し、長期滞在を繰り返しているということは、米軍の業務を継続的に担っているということだ。

Oceaneering International社のHPでは、この船は多用途支援船(MSV: Multi-Service Vessel)とされている。
デッキクレーンを備え、リモート操作の無人潜航艇(ROV: Remotely Operated Vehicle)を運用する能力も持っており、海底・海中でのさまざまな作業や調査の任務に従事することが可能だ。
この能力を使って、何らかの海洋調査を行っているものと考えられる。

近年、オーシャン・インターベンションは夏とその前後に横浜ノースドックに現れて、ここを拠点に、さらに函館や小樽を前進拠点として、周辺の日本海で何らかの調査活動を行い、冬前になると去っていく、というパターンの活動を繰り返していた。

ところが、2023年の12月に住友横須賀造船所に入るようになってからは、「冬前になると日本周辺を去る」必要がなくなったのかもしれない。そしてそれが日本の造船所で整備工事を行う「狙い」なのかもしれない。
そうであるならば、オーシャン・インターベンションは「軍艦」ではないが、米艦の整備を東アジアの民間工場で行う近年の米軍の政策と軌を一にする動きなのかもしれない。
それとも、そういうことではなく、1年に満たない周期での今回の住友横須賀造船所入りは、単純に前回の整備箇所の不調が見つかったということなのだろうか。

昨年3月1日に住友横須賀造船所を出てからのオーシャン・インターベンションの行動を横浜ノースドック関連を中心に簡単にまとめると、以下のようになる。

2024年3月1日:住友横須賀造船所発、横浜ノースドック入港
3月10日:横浜ノースドック出港
3月18日:横浜ノースドック入港
3月22日:横浜ノースドック出港
3月26日:津軽海峡を通過し、日本海へ
(この間、おそらく日本海での調査活動)
6月4日:横須賀基地に一旦立ち寄ってからこの日横浜ノースドック入港
6月16日:横浜ノースドック出港
6月19日:函館入港
(この間、函館への入出港を繰り返しつつ、日本海で調査活動を行った)
10月21日:函館出港
10月25日:横浜ノースドック入港
12月3日:横浜ノースドック出港、住友横須賀造船所入り
2025年2月28日:住友横須賀造船所発、横浜ノースドック入港
3月9日:横浜ノースドック出港

3月9日にオーシャン・インターベンションは横浜ノースドックを出港し、非常にゆっくりとした速度で東京湾を出て行った。
同日20時過ぎの時点で、房総半島の鴨川沖を東に進んでいるようだが、目的地やそもそも今回の出港が本格的な任務航海なのか、それとも訓練航海や試験航海なのかなどは今のところ不明だ。

(RIMPEACE編集部 星野 潔)


3月9日の朝、出港するオーシャン・インターベンション。離岸したての時には、なぜかデッキクレーンがアクティブな状態になっていた(25.3.9 星野 撮影)


極めてゆっくりとした速度で横浜を出ていったオーシャン・インターベンション(25.3.9 星野 撮影)


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