2機の海自墜落ヘリを引き揚げた作業船、横浜ND寄港
3月14日、横浜ノースドックに接岸したノルウェー船籍の作業船グランドキャニオンU(25.3.14 星野 撮影)
グランドキャニオンUの巨大クレーン(25.3.14 星野 撮影)
グランドキャニオンUが停泊したBバースの近くには、自衛隊のトラックなどの車両が多数並んでいた(25.3.14 星野 撮影)
入港後7時間ほどで、グランドキャニオンUは大黒ふ頭のP-1バースに移動した(25.3.15 星野 撮影)
3月14日の朝、横浜ノースドックにノルウェー船籍の民間作業船、グランドキャニオンU(GRAND CANYONU)が接岸した。
報道によればグランドキャニオンUは、伊豆諸島の鳥島沖で昨年4月に衝突して墜落した海上自衛隊のSH60Kヘリコプター2機を、3月11日から12日にかけて海底から引き揚げて、横浜ノースドックに運んできたのだった。
確かにこの日、グランドキャニオンUが接岸した横浜ノースドックのBバースの近くにには、複数の自衛隊の車両などが並んでいた。
グランドキャニオンUは、伊豆諸島の海域での引き揚げ作業に向かう前、2月中旬まではシンガポールに滞在していて、2月15日にシンガポールのチャンギを出港し、2月28日に横浜港に入港している。
ただし、この時は横浜ノースドックには接岸せず、大黒ふ頭のP-1バースに停泊し、そこから3月6日の夕方に伊豆諸島の鳥島沖に向けて出港した。
グランドキャニオンUは、ノルウェー船籍の船だ。
海底油田の掘削装置の設営などに使われるこの船のオーナーは、ノルウェーのハヴィラ・サブシー・アンド・リニューアブルス社(Havila Subsea & Renewables)で、オペレーターは米国のヘリックス・エナジー・ソリューションズ社(Helix Energy Solutions Group)だ。
ヘリックス社は、油田の掘削を始めとするオフショアエネルギー開発関連のサービスを提供する会社だ。
ヘリックス社のHPによれば、グランドキャニオンUは3000メートルのワイヤを備えた250トンのつり上げ能力を持つクレーンを装備し、2台のROV(Remotely Operated Vehicle: 水中ドローン)も搭載している。
報道によれば今回の引き揚げ作業は、海上自衛隊がFMS(有償軍事援助)制度を使って、米軍に作業を委託して実施されたということなので、米軍がさらに実際の作業をヘリックス社に委託したということなのだろう。
グランドキャニオンUが伊豆諸島の海域に向かう前には横浜ノースドックに接岸せず、大黒ふ頭に停泊していたのは、米軍から委託された業務のための横浜入港とはいえ、実質的には米軍の任務ではない作業の契約だったからだろうか。
引き揚げた2機の海自ヘリを3月14日に横浜ノースドックに運び込んだグランドキャニオンUは、陸揚げを終えるとこの米軍基地に長居はせず、7時間ほどの滞在で14日の午後には再び大黒ふ頭のP-1バースに移動し、3月18日の早朝まで滞在した。
これも上記のような理由ゆえのことだろうか。
なお、グランドキャニオンUは、横須賀米軍基地に入港したことがある。2021年3月24日のことだ。
これは2020年1月25日に沖縄東方海上に墜落した、第7艦隊旗艦ブルーリッジの艦載ヘリを21年3月18日に引き上げて、横須賀基地に運んできたためだった。
この時は、グランドキャニオンUは横須賀基地に一晩停泊し、さらに横須賀基地を出た後沖合の錨地に1泊して、東京湾を出て行った。
(RIMPEACE編集部 星野 潔)
伊豆諸島の海域に向かう前、2月28日から3月6日の夕方まで、グランドキャニオンUは大黒ふ頭P-1バースに滞在していた(25.3.3 星野 撮影)
3月6日、伊豆諸島の海域に向けて出港し、本牧沖を進むグランドキャニオンUの船首部。手前は三菱重工横浜製作所本牧工場で整備中の遠征海上基地ミゲル・キース(25.3.6 星野 撮影)
2025-3-21|HOME|