横浜NDで海軍ヘリ、2機編隊で飛行訓練
4月3日の夕方、横浜港上空に現れた2機の米海軍ヘリ(25.4.3 星野 撮影)
横浜ノースドックやその周辺で低空周回飛行や離着陸訓練を繰り返した(25.4.3 星野 撮影)
2機編隊での飛行訓練が続いた(25.4.3 星野 撮影)
2機ともMH-60Rだった。所属部隊は、はっきりとは読み取れないがHSM-51のように見える(25.4.3 星野 撮影)
2本並んでいる煙突は、横浜火力発電所。約200メートルの高さの煙突だ(25.4.3 星野 撮影)
明らかに200メートルよりも低い高度を飛んでいることが分かる(25.4.3 星野 撮影)
ノースドックのグラウンドへの離着陸訓練も複数回行われた。この時には、先に右側のヘリが着陸し、それを追うように左側のヘリも着陸した(25.4.3 星野 撮影)
グラウンドに並んで着地したMH-60R。日本の航空法は、国土交通大臣の許可を得ない限り空港以外の場所での離着陸を許していない(第79条)(25.4.3 星野 撮影)
この時には、2機がほぼ並んだまま着陸していった。横浜港のど真ん中での出来事だ(25.4.3 星野 撮影)
2機並んだまま、再び浮上する(25.4.3 星野 撮影)
周回飛行と離着陸を繰り返した後で、高度を上げて房総半島の方角へと飛び去って行った(25.4.3 星野 撮影)
4月3日の17時頃、横浜港に2機編隊の米海軍MH-60Rヘリコプターが飛来し、低空での周回飛行訓練や横浜ノースドックのグラウンドへの離着陸訓練を繰り返した。
夕方、しかも「雨のち曇り」の気象条件だったため視界が悪く、機体に書かれた所属部隊の表示をはっきりと読み取ることは難しかったが、どうやら厚木基地所属で横須賀のイージス艦の艦載機であるHSM-51(第51海洋攻撃ヘリコプター飛行隊)のようだった。
そもそも横浜港は、訓練空域として米軍に提供された区域ではない。
その横浜港のど真ん中で2機編隊で低空飛行訓練やタッチアンドゴー訓練を行うこと自体、常軌を逸した振る舞いだ。
おそらく米軍にとっては、日本社会で暮らす人びとの安全や騒音被害など、自分たちの都合に比べれば重要度の低いものに過ぎないのだろう。
この2機はどちらも、航空機が位置と高度を絶えず放送するシステムであるADS-B(Automatic Dependent Surveillance-Broadcast)の信号を切ったまま飛行していたため、正確な飛行高度を把握することは難しかったが、横浜港上空での周回飛行の際に、約200メートルの高さの横浜火力発電所の2本の煙突よりも低い高度を飛んでいたことが確認できた。
日本の航空法令においては、「市街地等の人又は家屋の密集している地域では、当該航空機を中心として水平距離600メートルの範囲内の最も高い障害物の上端から300メートルの高度」という最低安全飛行高度が定められている。
確かにいわゆる航空特例法によって、米軍や朝鮮戦争国連軍には最低飛行高度の規定を含む「航空法第六章の規定は、政令で定めるものを除き、適用しない」ことが定められている。
しかし日本政府は、国会での答弁で何度も、米軍は日本の航空法令を尊重して飛行していると答弁している。尊重しているということは、「無視している、守らない」ということではなく、「守っている」ことを意味しているはずだ。
米軍は日本の航空法の規定を尊重していると国会で答弁している以上、日本政府には米軍に日本の航空法を守らせる責務がある。
そもそも最低安全飛行高度など航空法令の規定は、日本社会に住む人びとの安全を確保するために設けられている規定だ。
米軍パイロットと米軍の航空機だけは極めて優れていて、他のパイロットや航空機と違って航空法の規定を守らなくても事故を起こすことはなく安全なのだというような馬鹿げた妄想を抱いていない限りは、米軍にも人口密集地での最低飛行高度を遵守させなければ、日本に暮らす人びとの安全は保障されない。
「我が国の主権と独立を維持し、領域を保全し、国民の生命・身体・財産の安全を確保する」(2022年「国家安全保障戦略」より引用)などと力みかえって拳を振り上げてみせるならば、まずは具体的に米軍の無法で危険な行為を止めるべきではないのか。
米軍の危険な行為を野放しにして、日本社会に暮らす人びとの「生命・身体・財産の安全」を脅かし続けている日本政府が額に青筋を立てていきり立って叫ぶ「国家安全保障」などというものは、この社会で暮らす人びとの生命と生活の安全の保障とはまるで無縁のものでしかない。
4月3日の夕方に飛行訓練をしていた2機のMH-60Rに話を戻すと、横浜ノースドックとその周辺でタッチアンドゴーや周回飛行をしばらく続けた後、高度を上げてベイブリッジの上空を飛んで房総半島の方向へと飛び去って行った。
飛び去って行った方向には、木更津基地がある。
ADS-B の信号を利用したアプリで得た情報によると、4月3日は、横浜港で2機の海軍ヘリが訓練飛行をしていたのと同じ時間帯、いや、それよりも少し前から、木更津基地手前の海上でも、厚木基地から飛来した別の米軍ヘリが周回飛行訓練や離着陸を繰り返していた(この機体はADS-B の信号を出し続けていた)。
一旦、木更津基地に着地していたこちらのヘリは、17時11分頃に再び飛び立ち、17時25分頃に厚木基地に戻っている。
もしかしたら横浜港を飛び去った2機のMH-60Rも、木更津にいたヘリと合流したのかもしれないが、この2機はADS-Bの信号を発していなかったので、実際のところどうだったのかは不明だ。
(RIMPEACE編集部 星野 潔)
航空法令を逸脱する超低空飛行をする米海軍ヘリ(赤丸)。青い四角で囲んだところは陸自が共同使用している建物だ。自衛隊員は、米軍の無法な振る舞いをどう考えているのだろうか(25.4.3 星野 撮影)
2025-4-13|HOME|