海自補給艦、米艦への洋上補給訓練後、横浜の民間燃料補給施設に直行
6月9日、横浜港の民間燃料補給施設、大東通商株式会社横浜油槽所第5岸壁に接岸した海自補給艦「ときわ」。
手前の黄色い船は「シーバス」。左側に見える黒い防眩材の置かれた埠頭が横浜ノースドック(25.6.9 星野 撮影)
大東通商株式会社横浜油槽所第5岸壁で補給を受ける海自補給艦「ときわ」(25.6.9 木元 茂夫 撮影)
6月9日の朝、横浜港にある民間燃料補給施設、大東通商株式会社横浜油槽所の第5岸壁に、海上自衛隊の補給艦「ときわ」が接岸した。
「ときわ」は横須賀基地を「母港」とする補給艦だが、今回は横須賀から横浜にやって来た訳ではない。
外洋での任務航海からこの日の早朝に東京湾に戻ってきて、横須賀湊には寄らずに横浜港のこの民間施設にまっすぐにやって来たのだ。
「ときわ」は5月17日に横須賀を出港していた。
そして自衛艦隊HPの「ニュース」によれば、横浜入港前日の6月8日に、「ときわ」は「本州南方海域」において米沿岸警備隊巡視船「ストラットン」(STRATTON WMSL 752)と日米共同訓練(ILEX:Interchangeable Logistic Exercise 25)を実施していた。
ILEXとはすなわち、訓練として米艦に洋上補給を行うものだ。
自衛艦隊HPは、「ILEXのねらいは、日米の補給艦等による洋上補給において、相互に代替し得る能力の保持を通じた運用の柔軟性を確保すること」と説明している。
自衛艦隊HPは「沿岸警備隊巡視船」と書いているが、そもそも米国において沿岸警備隊は、軍の一部という位置づけになっている。
その点は、海上保安庁法の第25条で「この法律のいかなる規定も海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない」と、明確に軍隊であってはならないとされている日本の海上保安庁とは大きく違うところだ。
つまり、「ときわ」は、6月8日に米軍艦船への洋上補給訓練を行ったのだ
。
米軍艦船との間の補給訓練だったということは、自衛隊も当然自覚していたことだ。
自衛艦隊HPニュースの「日米海軍種は、平素から緊密に連携して様々な海域において共に行動し、あらゆる不測事態に対する日米共同による対処能力の維持・向上を図っています」という文面からもそのことはうかがえる。
ところで、公式HPで海上自衛隊が自らを「海軍」と表現してしまうのは、明らかに意識して憲法を踏みにじる意図を持った行為であり断じて許すことはできない。それとも、まさかこれを書いた自衛隊員は日本国憲法を知らないというのだろうか。
これを直接書いた担当者の責任はもちろん、上司から防衛大臣に至るまでの監督責任も重大だ。防衛大臣は即時罷免に値するのではないか。
おそらく、現政権や多くの政治家たちから防衛省が「聖域」扱いされ、自衛隊を最前線に立たせたい米軍からもおだてられる中で、自衛隊幹部の中に幼い高揚感や万能感が現れてしまっているのではないか。
そうであるなら、あまりに危険な状況だ。
話を「ときわ」の横浜の民間燃料補給施設接岸の件に戻すと、米軍とのILEXを終えた翌日に、東京湾に帰ってきて横浜港の民間燃料補給施設に入ったということは、米軍に補給した燃料の補充に横浜港の民間施設を使用したということを意味しているのだろう。
つまり、横浜港の民間燃料補給施設が、実質的には米軍への燃料補給を支えるインフラとしての役割を果たしたということだ。
「民間」ではあっても、米軍の行動を支える施設になっているということだ。
また、6月9日に「ときわ」が接岸した大東通商株式会社横浜油槽所第5岸壁には、5月23日に護衛艦「あまぎり」が接岸したばかりだ。
横浜港の軍事施設化が著しい。
(RIMPEACE編集部 星野 潔)
「ときわ」と米艦の洋上補給訓練について紹介する自衛艦隊HPの「ニュース」
https://www.mod.go.jp/msdf/sf/news/2025/06/0609-2.html より引用
「日米海軍種」という言葉が文中で使われてしまっている
6月8日に「ときわ」から給油を受けた沿岸警備隊巡視船ストラットンは、6月9日、横須賀基地に入港した(25.6.10 星野 撮影)
ストラットンは6号バースに接岸した(25.6.10 非核市民宣言運動・ヨコスカ 撮影)
2025-6-10|HOME|