陸軍ブラックホークヘリ、横浜NDに飛来
8月28日の16時台、横浜港上空に飛来した米陸軍ブラックホークヘリコプター(25.8.28 星野 撮影)
まずは横浜ノースドックのある瑞穂埠頭のまわりを低空飛行で周回した(25.8.28 星野 撮影)
「コットン大橋」付近の上空で、ノースドックの中の方へと向きを変えた(25.8.28 星野 撮影)
ノースドック中央部のグラウンドの方に降下していく(25.8.28 星野 撮影)
グラウンドの真上で着地の体勢に入った。
近くに停車中の2台の青緑色のバスは厚木市内の民間業者のバス。日常的にノースドックに現れる。キャンプ座阨面在住米兵たちの「通勤」手段の一つとみられる(25.8.28 星野 撮影)
着地の直前に機体の向きを変えた(25.8.28 星野 撮影)
ローターを回したまま着地しているブラックホークの横を、ノースドック内での訓練を終えた横浜市消防局の消防車が通り過ぎていく。
横浜市消防局や神奈川県警は、米軍基地横浜ノースドックの中で日常的に自分たちの訓練を行っている(25.8.28 星野 撮影)
地上を歩く兵士たちの姿が見えるが、前述の「通勤バス」に向かう兵士たちだ。一日の勤務を終えてキャンプ座阨面に帰るのだろう(25.8.28 星野 撮影)
着地してから約10分後、再び浮上するブラックホークヘリコプター(25.8.28 星野 撮影)
ノースドックの周辺は事業所や住宅が密集する市街地だ。そこを飛んでいくブラックホーク(25.8.28 星野 撮影)
浮上したブラックホークは、向きを変えて鎌倉、湘南海岸の方へと向かった(25.8.28 星野 撮影)
8月28日の16時11分頃、横浜港上空に1機の米陸軍ブラックホークヘリコプターが現れた。
このブラックホークは、同日16時頃にキャンプ座閧飛び立ち、小田急線鶴川駅付近の上空を16時4分頃に通過し、横浜市神奈川区浦島町上空を通って出田町ふ頭付近から横浜港上空に進入した機体だ。
航空機が自らの高度と位置情報を放送するシステムであるADS-B(Automatic Dependent Surveillance-Broadcast)の情報によれば、このブラックホークの出田町ふ頭上空付近での高度は、800フィート(約243.8メートル)だった。
その後、このブラックホークは、瑞穂埠頭と大黒ふ頭の間の海上の上空、そして、瑞穂ふ頭と「みなとみらい地区」の間の海上の上空、さらに「コットン大橋」付近の上空へと「時計回り」に瑞穂ふ頭の周囲を回った。瑞穂埠頭は、横浜ノースドックのある埠頭だ。
ブラックホークは瑞穂埠頭の周辺を回りながら、瑞穂ふ頭の先端部と大黒ふ頭の間の海上の上空では、高度600フィート(約182.9メートル)、さらに瑞穂ふ頭と「みなとみらい地区」の臨港パークの間の海上では高度400フィート(121.9メートル)へと高度を下げていった。
さまざまな施設が密集する横浜港上空での、この低空飛行は、日本の航空法第81条及び航空法施行規則第174条に定められた最低安全高度の規定に反していると言える。
そもそもこのブラックホークは、横浜港上空にやって来る前の神奈川区浦島町付近で、すでに1000フィート(304.8メートル)というかなり低い高度を飛行していた。
上述の航空法及び航空法施行規則の規定によれば、「人又は家屋の密集している地域の上空」での最低安全高度は、当該航空機を中心として水平距離600メートルの範囲内の最も高い障害物の上端から300メートルの高度だ。
横浜市神奈川区浦島町には各種のビルが林立している。
軍用機ブラックホークの、浦島町付近上空での高度1000フィートでの飛行が「安全」なわけがない。
さて、横浜ノースドックのある瑞穂ふ頭の周囲を回りながら高度を下げていったブラックホークは、16時13分頃、横浜ノースドック中央部にあるグラウンドに着陸した。
そして16時23分頃に浮上を開始するまで、約10分間、ローターを回したままグラウンドに着地していた。
だが、そもそも飛行場ではない場所での航空機の離着陸は、航空法第79条で原則禁止されている。そして、横浜ノースドックは飛行場でもヘリポートでもない。
確かに「航空特例法」によって、米軍機には航空法第6章(第79条や第81条など)などが適用されないことになってはいるが、当HPで再三指摘してきたように、米軍機の低空飛行訓練などが国権の最高機関である国会で問題になるたびに日本政府は、「米軍は日本の法令を尊重して飛行している」という趣旨の答弁を繰り返している。
そうであるならば、日本政府には米軍に日本の航空法を尊重させ守らせる責務があるはずだ。
横浜ノースドックに着陸したブラックホークに話を戻そう。
16時23分頃に横浜ノースドックのグランドから浮上して高度を上げたブラックホークは、出田町ふ頭上空を通って、横浜市神奈川区のJR東海道線の線路の西側の上空へと飛行しながら南西方向に向きを変えた。
そして、16時32分頃に鎌倉市の由比ガ浜海岸付近の上空に到達した。
その後いったんは海岸沿いに逗子、葉山の方に進んだ後、16時34分頃に向きを変えて、今度は湘南海岸に沿って西の方に向かった。
そのまま海岸沿いに進み、相模川河口付近を越えた16時41分過ぎに平塚市上空で海岸から内陸方向へと向きを変えて北上を開始した。
平塚市上空から伊勢原市、厚木市、相模原市上空へと、ところどころで数回周回飛行を行いながら北上を続け、東京都の多摩地区にある中央大学や明星大学及び多摩動物公園付近の上空に到達した17時3分頃から4分頃にかけて大きく旋回して反転し、町田市、相模原市上空を経て、キャンプ座閧ノ戻って17時10分頃に着陸した。
ただし、数分後には再び離陸して、キャンプ座闔辺の上空で周回飛行を行ったようだ。
以上のような、8月28日16時台から17時台にかけてのブラックホークの飛行は、訓練の一環だったのだろう。したがって、この日の横浜ノースドックへの飛来も、訓練の一部だったのだろう。約10分間も着地し続けていた理由はよく分からないが。
繰り返しになるが、横浜ノースドックは確かに米軍基地ではあるが飛行場でもヘリポートでも無い。人口密集地でもある横浜港での米軍機の飛行訓練は、許されないことだ。
なお、この日の同じ時間帯、横浜ノースドックの近くでもある横須賀沖の海上で、別のブラックホークヘリコプターが低空で執拗に周回飛行訓練を行っていた。
こちらのブラックホークは、8月28日の15時23分頃厚木基地を飛び立った機体だ。
厚木基地を飛び立った後、南東方向に進み、15時30分頃には鎌倉市の由比ガ浜上空に到達した。
その後、三浦半島の西側に沿って相模湾の海上の上空を南下し、15時38分頃、三浦市の城ヶ島沖上空に到達すると、東京湾の方向に向きを変えて、金田湾沖や浦賀沖の、900フィート(約274メートル)から950フィート(約290メートル)ほどの低空を、小さな円を描いて何度も何度もグルグル回りながら、浦賀水道上空を北上した。
16時23分頃に横須賀沖に到達すると、横須賀基地の沖、そして横浜市金沢区沖の上空でも、長い時間にわたって執拗に低空周回飛行を繰り返した。
このヘリは、時には820フィート(約250メートル)まで高度を下げて、横須賀や横浜市金沢区沖の上空に17時7分頃まで居座った後、17時13分頃にようやく厚木基地に戻った。
こちらのブラックホークも、何らかの訓練だったのだろう。
米軍は、首都圏の市街地上空や東京湾の上空を、勝手に飛行訓練エリアとして使用しているのだ。
日本の航空法の規定を無視し、人口密集地で平然と低空飛行訓練を行う米軍は、まさに日本列島で暮らす人びとの安全を脅かす深刻な脅威となっている。
(RIMPEACE編集部 星野 潔)
上述のブラックホークの横浜港への飛来前から、浦賀水道や横須賀港沖の上空で低空周回飛行訓練を執拗に続けていた、別のブラックホークヘリ。
左の、赤い丸で囲んだ方の機体だ(25.8.28 星野 撮影)
こちらのブラックホークの向こうには、猿島や横須賀市内の住宅地が見える(25.8.28 星野 撮影)
2025-9-3|HOME|