陸軍資材コマンド副司令官、横浜ND視察

横浜ノースドックを視察した陸軍資材コマンド副司令官のローレンス中将一行。
米軍画像サイトDVIDS記事「LTG Gavin Lawrence conducted a visit to key logistical sites in the Indo-Pacific [Image 4 of 5]」より引用。
一行は埠頭上に置かれた組み立て式タグボートの上に乗っている。後ろには兵站支援艦「ブレホン・B・サマーヴェル大将」の船体の一部が写り込んでいる。
空を厚い雲が覆っているようにもみえる。DVIDSでは1月27日という日付になっているが、横浜ND上空が厚い雲で覆われていたのは28日だ。
https://www.dvidshub.net/image/9509209/ltg-gavin-lawrence-conducted-visit-key-logistical-sites-indo-pacific

ローレンス副司令官一行が上に乗って記念写真に収まったと見られる組み立て式タグボートとその周辺の1月28日の昼頃の様子。
手前に接岸している兵站支援艦がサマーヴェル。その向こうの埠頭上に2隻の組み立て式タグボートが並べられているが、その右側の方にローレンス中将らは登ったとみられる。
よく見ると、右側のタグには、上に登る際に使ったとみられるタラップが取り付けられている(28.1.28 星野 撮影)

同じ場所の1月27日の昼頃の様子。この日は晴れていた。
1月27日であれ28日であれ兵站支援艦サマーヴェルは、少なくとも昼頃は満艦飾にはなっていなかった(26.1.27 星野 撮影)
米軍画像サイトDVIDSに掲載された記事によると、1月26日から28日にかけて米陸軍資材コマンド(Army Materiel Command)副司令官のギャビン・ローレンス中将(LTG Gavin Lawrence)が、インド太平洋地域の主要兵站拠点である韓国のキャンプ・キャロルと相模総合補給廠、そして横浜ノースドックを相次いで訪問した。
同記事によると、ローレンス副司令官は今回これら3つの基地で、第403野戦支援旅団(403rd Army Field Support Brigade)とその北東アジア大隊(Northeast Asia Battalion)を視察したという。
ローレンス中将が陸軍資材コマンドの副司令官に就いたのは、昨年11月25日のことだ(米陸軍将官人事管理オフィス(General Officer Management Office: GOMO)HPによる)。
副司令官への就任からまだ日が浅い時点での、インド太平洋地域の重要兵站拠点の視察だった。
ローレンス副司令官が視察した第403野戦支援旅団は、米陸軍資材コマンド傘下の部隊の一つだ。韓国に司令部を置き、軍団レベルの活動に直接支援を提供する兵站支援部隊のネットワークを有している(同旅団ファクトシートを参照)。
さらに、同旅団ファクトシートによると、旅団傘下の2つの野戦支援大隊(AFSBn: Army Field Support Battalion)、すなわちAFSBn-Korea(韓国大隊)とASFBn-Northeast Asia(北東アジア大隊)は、韓国に駐留する第2歩兵師団への直接支援と、APS-4の管理を任務としている。
APSとは、Army Prepositioned Stock(陸軍事前配備貯蔵)の略称だ。
米陸軍は全世界に戦争資材の事前配備貯蔵の拠点を5カ所置いている。
5つのAPSのうち、東アジアに置かれているのが「APS-4」で、キャンプ・キャロルと相模総合補給廠、横浜ノースドックの3つの基地を合わせて1つの事前配備貯蔵拠点とされている。
そして確かに同旅団北東アジア大隊(Northeast Asia Battalion)のファクトシートにも、同大隊の任務は韓国と日本にあるAPS-4の装備の管理や整備だと書いてある。
また、第403野戦支援旅団のファクトシートには、2007年10月に発足した同旅団はその前身の部隊から横浜における水上艦艇の任務などを引き継いだということも書かれている。
その「水上艦艇」とは、APS-4としての横浜ノースドックに配置された揚陸艇などのことだろう。
APS-4の3つの基地の中で横浜ノースドックは、揚陸艇や浮桟橋などの揚陸作戦資材を備蓄する拠点となっており、それらの揚陸作戦資材がノースドックに搬入されたのは、2002年8月から04年9月にかけてのことだ。
だが、これまで地元や日本社会向けには、第403野戦支援旅団の北東アジア大隊が横浜ノースドックで「水上艦艇」などの揚陸作戦資材の管理や整備を担っているという説明はされてこなかったのではないか。
例えば横浜市には、横浜ノースドックには第836輸送大隊(836th Transportation Battalion)という部隊が置かれていること、2024年2月からは揚陸艇部隊である第5輸送中隊(5th Transportation Company)の運用が開始されたことは説明されてきたが、第403野戦支援旅団北東アジア大隊については、説明がされていなかったのではないか。
第403野戦支援旅団北東アジア大隊は、横浜ノースドックに常駐しているのだろうか。
第836輸送大隊や第5輸送中隊と北東アジア大隊とは、どのような関係になっているのだろうか。
また、キャンプ座閧ノ2024年に編成された第765輸送(ターミナル)大隊と北東アジア大隊は、どのような関係になっているのだろうか。
ところで、本記事の冒頭の写真は、DVIDS記事「LTG Gavin Lawrence conducted a visit to key logistical sites in the Indo-Pacific [Image 4 of 5]」に掲載されている写真だ。
これは横浜ノースドックの埠頭上に置かれた組み立て式タグボートの上に立つローレンス副司令官ご一行の記念写真だ。
(細かいことを言うと、組み立て式タグボートには「WARPING TUG(WT)」と、WTを動力源のユニットにして輸送船から陸地への貨物を運ぶフェリーとして使われる「CAUSEWAY FERRY(CF)」があるが、かれらが乗っていたのはCFのようだ)
写真を見る限り、空は雲で覆われているように見える。
同記事では撮影日は「1月27日」とされているが、筆者が撮影した横浜ノースドック周辺の写真をみた限り、DVIDSに掲載された1月27日付けの「記念写真」の空の様子は1月27日よりも28日のそれに近いように見える。
ローレンス副司令官の横浜ノースドック視察は、実際には1月28日だった可能性がある。
副司令官の横浜ノースドック視察が1月27日だったにせよ28日だったにせよ、そのどちらの日も昼頃には、現在ノースドックに接岸している4隻の米陸軍揚陸艇(LCU)と2隻の兵站支援艦(LSV)のいずれの艦も、満艦飾になっていなかった。
将官が視察で乗船する場合、満艦飾にするのではなかったのだろうか。
副司令官はいずれかの日の午前中の早い時間に横浜にやって来て、そしてさっさと帰り、満艦飾も早々に撤去したということなのだろうか。
それとも、中将であっても、副司令官の視察であれば満艦飾にはしないことにしているのだろうか。
あるいは、ローレンス副司令官は揚陸艇にも兵站支援艦にも乗船しなかったから、満艦飾にはしなかったということなのだろうか。
米軍画像サイトDVIDSには副司令官が埠頭上に置かれた組み立て式タグボート(CAUSEWAY FERRY)の上に乗って記念写真に収まっている画像は掲載されているのだが、より「絵になる」と思われる揚陸艇や兵站支援艦に乗船している写真は掲載されていない。
ということはやはり、ローレンス中将は、わざわざ横浜ノースドックまでAPS-4の視察に来たにもかかわらず、組み立て式タグボートの上には乗っても揚陸艇には乗船しなかったということなのだろうか。
こうしたことは細かなどうでも良い話かもしれないが、今回の副司令官の動きが、2002年以降横浜ノースドックに備蓄されてきた揚陸作戦資材のうち、どれがAPS-4の資材であるかということや、資材管理の担当部隊の異動などとも関係している可能性もゼロではないように思われたので、備忘のメモとして書いておく。
(2月23日に「CAUSEWAY FERRY」についての説明を書き加えた)
(RIMPEACE編集部 星野 潔)

1月27日の昼頃の横浜ノースドック(26.1.27 星野 撮影)

1月28日の昼頃の横浜ノースドック。
27日の昼頃も28日の昼頃も、横浜ノースドック接岸していた4隻の揚陸艇、2隻の兵站支援艦、そして3隻の海軍音響測定艦のいずれも、満艦飾になっていなかった(26.1.28 星野 撮影)
2026-2-20|HOME|