横浜ノースドックからヒース米軍基地へ
保管中の大型タグが出港



並んで横浜港を出てヒース在英米軍基地に向かう2隻の大型タグの後姿(10月17日)

9月下旬から何度か、横浜ノースドックAバースの「定置場所」を離れて港外に出ていた大型タグ2隻が、10月17日に自力でイギリス・サザンプトンのヒース米軍基地に向かって出港した。

ヒース基地は米陸軍舟艇の修理を担当する部隊がいる。昨年8月ノースドックに大型揚陸艇LCUを運びこんだ貨物船ストロング・バージニアンもヒースから出港している。また、ディエゴガルシアから昨年9月にノースドックにきたアメリカン・コーモラントが積んでいた陸軍舟艇(2隻の大型タグを含む)もヒースで点検修理を受けていた。

わざわざノースドックに運び込まれた大型タグが、1年後に検査のためにイギリスまで行くというのも、まったく考えられないことではないが変な話だ。ノースドックからヒースに保管場所を変えた、というのも朝令暮改だし、なぜ大型タグだけが、という疑問が残る。

この2隻の大型タグは、単なる保管ではなく、現役の航洋タグとしての任務についた、という可能性が考えられないだろうか。ちなみに、このLT800クラスのタグは、13.5ノット(空身)で航続距離5000海里だという。時間さえかければ、世界中の港に自力で向かう能力は十分ある。

では、ヒースまで何をしに行くのだろうか。ノースドックに未搬入の陸軍舟艇(LCU3隻、クレーンバージ)をヒースから運んでくることもあり得る。数ヵ月のうちにこの大型タグが戻ってくればはっきりするだろう。

この大型タグは、もしもヒースから戻ってくればそのあとも、単に係留されているのではなく、ノースドックを拠点にタグとしての任務を果たしつづけるではないか。9月中旬まで掲げていなかった星条旗と日の丸を9月27日にはマストに掲げていた。保管のための係留なら必用ない旗を、横浜港外まで航行するために掲げたと思われる。航洋能力をヒースまでの航行というオンザジョブで証明したあとは、定期的な点検の名目で、横浜港を中心にバージを引きつれて動き回ることも十分考えられる。

昨年8月の段階で、在日米大使館は外務省に対し、陸軍舟艇の搬入はノースドックの機能を高めるものではない、と説明したという(神奈川新聞)。単なる保管・修理だって基地機能の強化であることは間違いない。それに加えて大型タグが、同じく水上保管の予定のバージなどをひいて、ノースドックから各地に動き回るとすれば、ノースドックの機能には新たなものが加わることにはならないのだろうか。

ノースドックのAバースに並ぶ大型タグ。右はBバースのコリーショウエスト(9月15日)


日の丸と星条旗をマストに掲げた大型タグ(10月10日)

(RIMPEACE編集部)


'2003-11-6|HOME|