横浜ノースドックで浮き桟橋(MCS)の展開チェック始まる

大量のコンテナが8月18日に、クレーン船ゴーファーステートにより運び込まれたことは、すでにアップしている。このコンテナ群、実は大半がMCS(Modular Causeway System)の部品で、コンテナサイズに組まれていて、展開して(海上で)つなげることで浮き桟橋ができるものだ。貨物船から戦闘車両やトラックなどを既存の港以外の場所に陸揚げする場合に、船からこの浮き桟橋に積み替えて、海岸まで運搬するための装備だ。(ここで、既にノースドックに運びこまれているLCUやタグが「活躍」することになる)

前回の報告の中で「山の形のマークのついたコンテナ」と書いたものがそれで、これはマークではなくて、保管用にセットされた時のユニットの形そのものだった。このユニットの展開が、10月6日にノースドックの「コンテナ置場」で行われた。展開チェックされたのは一部のユニットだけで、急に必用に迫られた、という事態ではないようだ。4日後には、また元通りにコンテナ型に組み合わされていた。


10月6日、リムピース編集部撮影

このシステムのウリは、コンテナ輸送システムにそのまま乗るという点だ。40フィートコンテナ(40×24feet)と同じ大きさなので、ISO規格のコンテナを扱う民間船舶、軍用貨物船ならどの船でもすばやい積みこみ、積み下ろしが可能になる。80年代中旬に米海軍と陸軍が共同で企画したということだ(Navy Facilities Engineering Service Center のページより)。ガントリークレーンを装備する港なら、あっという間に積み降ろしが出きるが、戦時にはそんな贅沢なクレーンが無事に動いている保障はない。それでも、この浮き桟橋のユニットのために特別な形態のクレーンなどを用意しなくても、船に装備されているクレーンなどで簡単に扱えるところがきわめて「実戦的」と言える。
船から陸への荷揚げは、軍事物資の補給でもっとも困難な部類に入るだろう。相模補給廠では朝鮮半島有事に向けた軍事物資の備蓄(APS4)が行われている。横浜ノースドックには、その陸揚げを支える陸軍舟艇や浮き桟橋セットが集積されつつある。戦争の遂行には物資の補給が生命線だ。その生命線を構成する大きな部分が、この二つの米軍基地に集められている。動きの少ない基地だが、その果たす軍事機能は実に大きいと言わざるを得ない。

(RIMPEACE編集部)


参照したページ http://www.nfesc.navy.mil/amphib/causeway/present.html
このページにはこんな写真も載っている。


'2003-10-11|HOME|